韓国に警告したフィッチ「弾劾事態長引けば信用下方リスク」(2)
◇「盧・朴弾劾より不確実性大きい」…トランプリスク対応がカギ 現在の経済状況が以前の盧武鉉(ノ・ムヒョン)・朴槿恵(パク・クネ)元大統領弾劾当時よりも危険だとの指摘も出た。ウォン氏は「2004年と2017年に発生した弾劾は経済政策が政治と独立的に推進されたので韓国経済に及ぼす影響がわずかで、外部環境も友好的なため韓国経済の成長モメンタムが維持できた」と評価した。 だが今回の弾劾の場合、「肯定的に見るのは難しい理由がある」とし、▽政局を収拾しなければならない韓悳洙(ハン・ドクス)首相と崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相が戒厳を防ぐことができず批判を受けている点▽与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表辞任など追加的な政治的不確実性の存在▽第2次トランプ政権発足にともなう貿易関税賦課の可能性▽中国の成長鈍化――などを挙げた。ウォン氏は「一連の要因によりわれわれが見る2024~2025年の韓国経済成長見通し(2.1%、1.9%)に下方リスクがあるとみている」と明らかにした。 外交空白によりトランプリスクにまともに対応できない懸念もある。ウォン氏が提示したシミュレーションによると、来年4-6月期から韓国からの輸入品に10%の関税が課される場合、2026年末まで韓国の実質GDP成長率が累積0.8ポイント下落すると現れた。ズック氏は「トランプ氏の関税威嚇は単純に交渉戦略でもある」としながらも、「韓国の場合、現在の政治的不確実性が米国との交渉で一時的な影響を及ぼしかねない」と懸念する。 ◇「少子化の韓国、年金制度改革が急がれる」 尹政権が推進した年金改革が事実上ストップしたことも韓国に重大な影響を及ぼしかねないという指摘も出た。ウォン氏は「尹大統領の3大主要政策課題のひとつである年金制度改革は韓国の非常に低い出生率の問題を解決するためとても緊急な事案。韓国の出生率は2022年の0.78から昨年は0.72に下落し過去最低値を記録したが、関連分野での改革は限定的な状況」と話した。 カギは不確実性がどれだけ早く終息するかにかかっているという。ズック氏は「韓国は外貨準備高と純対外資産でとても強い緩衝材を持っており、外部衝撃に対処する能力を備え、経済もある程度回復力を維持するものとみられる。政治的不確実性が緩和され始めれば韓国経済の見通しは再び堅固になるだろう」と話した。