アサド氏がモスクワで制限下に置かれ、妻は離婚申請との報道 ロシアは否定
シリアのバッシャール・アル・アサド前大統領が、ロシアの首都モスクワで厳しい制限のもとで生活していると、トルコのメディアが22日に伝えた。前大統領の妻が離婚を申請し、故郷イギリスに戻ることを望んでいるとも報じられているが、ロシア大統領府の報道官は23日、離婚申請について否定した。 アサド氏は、反体制派が首都ダマスカスに攻め込んだことで政権を失い、妻アスマ・アル・アサド氏(49)とともにロシアに移動。同国で亡命が認められた。ロシアはかつて、アサド政権を強固に支え、内戦中は軍事支援を提供していた。 ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は23日の記者会見で、アスマ氏の離婚申請の報道について問われると、「いや、それは現実とは一致しない」と答えた。 また、アサド氏がモスクワで監禁状態に置かれ、財産が凍結されているという報道についても否定した。 アスマ氏はシリアの両親のもとイギリスで生まれ、ロンドン西部アクトンで育った。シリアとイギリスの国籍をもっている。2000年に25歳でシリアに移住し、アサド氏が父親の後を継いで大統領に就任した数カ月後に、同氏と結婚した。 だが、イギリスのデイヴィッド・ラミー外相は今月、「彼女は制裁対象者であり、イギリスでは歓迎されないことを明確にしておきたい」と議会で述べ、アスマ氏がイギリスに戻ることを認めない考えを示した。 アサド氏をめぐっては今月16日、同氏の声明とされるものが公表された。そこでは、シリアを脱出するつもりはなかったが、ロシアの要請でロシア軍基地から航空機で移動したとしている。 ■「砂漠のバラ」と西側メディア アスマ氏はシリアのファーストレディーだった24年間、西側メディアの好奇の的となった。 2011年にはファッション誌ヴォーグが特集で「砂漠のバラ」、「世界のファーストレディーの中で最もフレッシュで魅力的」と評した。この記事はすでに同誌のウェブサイトから削除されている。 その1カ月後にシリア内戦が始まると、アスマ氏は夫が民主化運動家らを暴力的に弾圧していることについて沈黙を守っているとして批判された。 内戦は約50万人の命を奪い、アサド氏は民間人に化学兵器を使用したとして非難された。 アスマ氏は2016年、ロシア国営テレビの取材に、夫を支えるために、安全な脱出の提案を拒否したと述べた。 2018年には乳がんの治療を受けていることを発表し、1年後には完治したと語った。 今年5月には、白血病と診断され、治療を開始したと、当時の大統領府が発表。公の場での活動を「一時的に取りやめる」としていた。 (英語記事 Kremlin denies reports Assad's wife has filed for divorce)
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