【京都の冬グルメ】寒い時期だからこそ美味しい!老舗でいただく湯葉の鍋
京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、天野準子さんが、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを紹介。 【写真】老舗の湯葉は京都土産にもおすすめ 寒さが厳しくなる1月。隣接する大阪から遊びに来た友人たちから「京都、寒すぎひん?」と、言われることも多く、足元からじんじんと寒さを感じる京都の底冷えは堪える。そこで、今月は冷えたカラダに染み渡るあたたかい料理を紹介。
四条堺町「千丸屋」
「千丸屋」は文化元年(1804年)創業、京都の各宗総本山御用達の湯葉の老舗だ。もともと食事処はなく、物販のみだったが、6年前から売り場内にイートインスペースを設け、「大名物 湯葉鍋」が始められた。 「大名物 湯葉鍋」¥2,400。炊き込みごはん、ゆば汁が付く
テーブルに運ばれてきた湯葉鍋のフタを開くと、平べったい湯葉が鍋一面を覆っているそのビジュアルに驚かされる。ぐつぐつ煮えた出汁と湯気で湯葉が膨れ上がる様子も楽しく、動画を撮る人も多いそう。 平湯葉をめくると、鶏のつみれや野菜、形や巻き方が違う3種類の湯葉が現れる。出汁自体には調味料で味をつけず、昆布出汁でシンプルに炊かれていて、昆布の旨みを吸った湯葉は、甘めの醬油出汁と相性抜群だ。また、昆布出汁を入れた深皿も用意されていて、塩を加え、湯葉をくぐらせて食べるとよりさっぱり。湯葉のおいしさをダイレクトに味わえる。
最近は、刺身のようにいただく生湯葉が人気だが、古くから精進料理や京料理で使われていたのは乾燥湯葉であり、こちらの鍋に入っているのもすべて乾燥湯葉だ。 京都の家庭でも、卵と炊いたり、魚や野菜と炊き合わせにしたり、昔は食卓に登場していたが、最近は乾燥湯葉離れが進んでいる。 「千丸屋」で湯葉鍋を提供するようになったのも「どうやって食べたらいいかわからない」「味の想像がつかない」という声が多かったことがきっかけだそう。 呉汁(豆乳)を加熱し、表面にできた薄い膜を職人さんが一枚一枚、引き上げ、乾燥し・・・未だに手作業で作られる京湯葉は、薄く、口当たりも滑らか。ぐつぐつ炊けば、出汁をぐんぐん吸い、合わせる具材や調味料で味が変化していくのもおもしろい。