【コラム】第51回「角田裕毅選手の2023年を振り返る」|F1解説 ムッシュ柴田のピットイン
角田裕毅選手が2023年最終戦後に発した言葉
アブダビGP決勝レースのチェッカー直後、角田裕毅選手と担当エンジニアであるマッティア・スピニの間で、こんなやりとりがありました。 ●【F1™|ハイライト】F1™2023最終戦 エティハド航空・アブダビGP 決勝|2023 スピニ「チェッカーフラッグ。P8だ」 角田「みんな、申し訳ない。全てを出し切ったんだけど」 スピニ「ユウキ、僕らは最後までトライし続けた。そして君は全てを出し尽くした。素晴らしいレースをありがとう」 コンストラクターズ選手権7位の座をウィリアムズから奪うには、最低でも6位入賞の必要がありました。しかし1ストップ作戦を敢行した角田選手は終盤にオスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソらに抜かれ、8位フィニッシュ。目標は達成できませんでした。
謝罪する角田選手。それに対しスピニは奮闘をねぎらい「素晴らしいレースをありがとう」と、謝意を述べたのでした。 スピニは角田選手のF1デビュー以来、担当エンジニアとしてずっと支え続けてきた存在です。角田選手がついカッとなって叫んだり悪態をつく時、それを最初に受け止めて落ち着かせ、励ますのもスピニの役目でした。 そんなスピニが、今季最終戦で角田選手に「ありがとう」と伝えた。これまでいい結果を挙げたレースで「グッジョブ!」と称賛したことはあっても「ありがとう」の言葉は、少なくとも僕は聞いたことがありませんでした。スピ二はどんな思いで、この言葉を発したのか。
アルファタウリAT04は序盤に大苦戦も、後半戦から徐々に盛り返す
2023年角田選手の成熟ぶりに、異論のある人はほとんどいないと思います。シーズン前半は、ダウンフォースも足りない上に直線スピードも遅いというAT04の絶対的な戦闘力不足ゆえに、予選でQ3まで行くことは至難でした(ベルギーGPまでの12戦でわずか2回)。 それでもレースではスタート直後の混乱を巧みに回避し、安定したミスのない走りでマシン性能を出し切る形でチェッカーを受け続けました。 イタリアGPでは出走できないトラブルに見舞われるまで、角田選手は開幕戦から連続13レース完走。角田選手以外でそれを成し遂げたドライバーは選手権上位5人とバルテリ・ボッタスのみ。角田選手本人にとっても、自己ベストのパフォーマンスでした。もしマシン戦闘力があれほどひどくなければ、3回の10位入賞だけでは終わらなかったでしょう。 実際、シーズン後半になって大幅アップデートを繰り返すと、アルファタウリは終盤5戦で4回のポイント獲得と、入賞の常連チームになっていました(うち3回が角田選手の入賞)。
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