令和の出島？大ブレイクの「アザラシ幼稚園」ライブ配信でゴロゴロする姿に熱い視線
辛酸なめ子のじわじわ時事ワード【アザラシ幼稚園】
長きにわたる日本とオランダの交流の歴史が、インターネットの海でまた新たな局面を迎えているようです。このところ大ブレイクしているのが「アザラシ幼稚園」。オランダにある野生のアザラシの保護施設「ピーテルブーレンアザラシセンター」のプールに熱い視線が集まっています。 【イラスト】大谷翔平選手の妻・真美子さんが持つバッグの抜群の宣伝効果はエルメス「バーキン」並み？ 沿岸で負傷したり衰弱したり孤児になったりした子アザラシを保護し、治療やリハビリの後に海に返すという施設で、保護された子アザラシたちがプールで過ごしているのです。 その様子がユーチューブで24時間ライブ配信され、そのかわいさに気付いた日本人が大挙して見にくるようになり、ついに「令和の出島」という声まで出始めました。 「幼稚園」では、日本人らしく風流なアザラシ観賞法が広まりました。垂直に浮かぶ姿は「茶柱」、プールサイドに集まる姿はバーカウンターでくつろぐ様子に例えられ、チャット欄で用語が飛び交います。カモメが来ると「監視員」、蜘蛛が映り込むと「蜘蛛ニキ」など、共通言語も次々生まれています。 時々欧米圏の人が「Hello」と入ってきたりしますが、怒濤の日本語チャットに圧倒され、発言できないようでした。スパチャ（投げ銭）機能が開放されると1日で約500万円もの寄付が集まり、以降も日々投げ銭されています。 ライブ配信を見ると「可愛すぎて初めてのスパチャを投げるしかない」と5000円課金した人に対して、茶柱から発想して「ナイス利休！」の声が飛びました。「給料日なので」と1万5800円も投げ銭した人には、ちょっと高級な「ナイス玉露！」の声が。 平日昼でも数千人が接続し、夜には1万人を超える日もありました。現地は深夜で真っ暗なのに2000人前後がアザラシを見守っていることも。「めっちゃ時間溶ける」という声もありましたが、浮いたりゴロゴロしたりしているアザラシを見るだけでも癒やされます。常に緩い「チル」の状態なアザラシは、忙しい現代人にリラックスの大切さを教えてくれているようです。 カメラからプールが遠いので最初は茶柱というよりヒジキにしか見えなかったアザラシですが、徐々に目鼻や模様が確認できるように。さらに驚いたのは「上陸した子、アップルちゃんじゃない？」と個体を識別できる人まで現れたこと。癒やしとともに、視力を鍛える効果があるとしたら、アザラシの恩返しでしょうか。
アザラシこまち
日本の水族館のアザラシも注目度が上昇中。男鹿水族館GAO（秋田県）のゴマフアザラシ「こまち」が、前脚を手のように器用に合わせ、まるでお寿司を握っているように見えるのです。 海の生き物だから寿司のネタは豊富にありそうですが……。飼育員によると、手がかゆくてかいているだけとのこと。それでも笑顔のような表情で前脚を合わせる姿はかわいいです。寿司を握るというより「お客さん、いらっしゃい」と揉み手しているようにも。水族館のアザラシは、野生のアザラシにはないファンサービスのスキルを持っています。（漫画家・コラムニスト、エッセイスト）
