宇都宮で高校演劇イベント 栃木県内3校が小劇場で作品上演
栃木県内の高校演劇作品を小劇場で上演するイベント「第4回ほんまる高校演劇アラカルト」が12月21日・22日の2日間、宇都宮市内の演劇アトリエ「アトリエほんまる」(宇都宮市本丸町)で開催された。(宇都宮経済新聞) 【写真】「バイ・ユア・サイド」~アラカルトバージョン~(宇都宮東高校) 同イベントは2019年当時、こまばアゴラ劇場(東京都目黒区)で行われていた「高校演劇サミット」をモデルに、小劇場で県内外の高校演劇作品を上演。通常一般の目に触れる機会が少ない高校演劇の魅力を広くアピールするとともに、世代を超えて継続的に演劇文化に関わる交流の機会を作ることを目的に、宇都宮高校、作新学院高校の県内2校に身延高校(山梨県)を加えた3校で1回目を開催した。 その後、コロナ禍で2年間の中止を経て、2回、3回はそれぞれ公募の高校生メンバーによるワークショップでの作品制作と上演を行った後、今年、県内3校による上演が再開した。 上演校は、惜しくも県大会には進出しなかったものの、物語性の高い作品に会場の観客などから高い評価を得た宇都宮東高校、部員手作りの花びら約7000枚が彩る舞台装置や、ゆったりとした時間経過を「美しく見せる」照明などが高い評価を受けた栃木女子高校の2校に加え、今回県大会で最優秀賞を受賞し関東大会に出場する作新学院高校が大会とは別キャストで上演した。来場した観客は短時間での舞台の入れ替えや、3校それぞれ見どころのある演目を楽しんだ。 「バイ・ユア・サイド」~アラカルトバージョン~(りん檎・宇都宮東高校演劇部作)を上演した宇都宮東高校演劇部の山形理桜さんは「年齢設定が大人なので将来のことなども考えながら演じた。自分たちもいつかは大人になるし、大人でも高校生の時期はあったので無関係ではなく、つながっていると感じた。作品に同窓会のような雰囲気がある。演劇もそうだが、大人になってもそれぞれにとって落ち着ける場所があるといい」と話す。 「あいに染まれば華ひらく」(栃木女子高校演劇部作)を上演した栃木女子高校の小倉天音さんは「地区大会後、もともと自主公演でもいいからもう一度見てもらいたいと思っていた作品なので、今回機会をもらえて良かった。何かが大きくガラッと変わるのではなく、それぞれのちょっとした変化に共感してもらえる作品だと思うので、それが伝わっていたらうれしい」と思いを語る。 「唐揚満足の姉妹」(高梨辰也作)を上演した作新学院高校の鈴木思喜さんは「平成という時代を演じることで、令和やその先を生きる手助けになれば。生きている上で困難なことに直面するかもしれないが、それでも唐揚げはおいしい。今回は新しいキャストで苦労することもあったが、新しい魅力を感じてもらえたら」と話す。 実行委員長を務める作新学院高校演劇部顧問の高梨辰也さんは「距離の近い小劇場での演劇を通して、人から人に伝わるという状態だからこそ伝わるものがあるという手応えを感じた。元気に演劇をする高校生たちが交流することで生まれるもの、それを見届けることで何かエネルギーをもらったりする場をこれからも作っていきたい」と意気込む。 作新学院高校演劇部は1月25日・26日に長野県松本市内で開催される「第60回関東高等学校演劇研究大会」に真岡高校(真岡市)と共に出場予定。
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