見落とされがちな流産・死産の「手続き」と「費用」勤め先に気づかれない場合も…何が必要?〝時効〟ある?
当事者になって初めて知る
出産費用の保険適用の議論が話題になり、出産育児一時金についてもあらためて注目されました。 私自身、子どもを持つまでは詳しくわかっていませんでしたが、今のところ正常分娩の出産は保険適用でなく、自由診療で医療機関を受診し、全額自己負担するのが原則です。そのため、出産する人の経済的負担を軽減する目的で、健康保険が出産育児一時金を給付しています。 自己負担分と一時金でトントン、あるいはその前後になるのが一般的な出産と言えるでしょう。 自分たちが死産の当事者になって初めて知ったことですが、妊娠満12週(85日)以降の流産・死産の場合も、この出産育児一時金が給付されます。たしかに、流産・死産という精神的な苦痛がある上、こうした給付もなく完全に出費だけになってしまったら、負担が大きすぎると感じます。 実際に死産自体の医療的処置や入院にかかった費用は、第一子の出産時よりは少なかったのですが、死産に至るまでの妊娠中の健診(自費/東京都在住の我が家の場合、補助券があっても1回1万円以上になることも)や、その後の母体の診察を合わせると、通院は第一子の妊娠時よりかなり多くなりました。 死産に至る児や母体の状態にもよるのでしょうが、我が家の場合は自己負担分と一時金が同じくらいになりました。 それ以外にも、東京都に住む我が家は、死産だった第二子についても、いわゆる「赤ちゃんファースト」のギフトを受け取ることができます(“流産や人工妊娠中絶、死産となられた方、出産後にお子様がお亡くなりになられた方も交付対象となります。”と明記されています)。 しかし、これは現物支給なので、受け取るべきか、受け取るとして何を受け取るのかが悩ましいです。 日本における妊娠満12週以後の死産の数は年間約1万5000人と報告されています。流産を経験する女性はおよそ7人に1人、死産はおよそ50人に1人の割合と、決して誰もが無関係ではありません。 一方で、妻の勤め先の対応や、当事者になる前の自分自身の認識も然りで、流産・死産の場合の制度などへの社会の理解は、進んでいるとは言えない状況です。 妻や、自分の心の整理がついていくことが前提ですが、同じような経験をすることがあった人のためにも、こうした情報発信の必要性を、あらためて感じています。