ギネスにも載った世界一有名なネコ!ビル・マーレイ、クリス・プラットが演じた「ガーフィールド」って?
オレンジ色の皮肉屋ネコ、ガーフィールドが大活躍する長編アニメーション『ねこのガーフィールド』が公開中。モフモフのルックスや毒はあるけど憎めないキャラクターでワールドワイドな人気を誇る「ガーフィールド」は、テレビアニメや実写で何度も映像化されてきたが、劇場用の長編アニメになったのはこれが初。キャラクターとしてのガーフィールドは目にしたことがあるけど作品は観たことない、という映画ファンもいるだろう。そこで本作の魅力と共に、作品のヒストリーを振り返ってみたい。 【写真を見る】ビル・マーレイのとぼけたモノローグがハマった実写版『ガーフィールド ザ・ムービー』 ■ギネスにも載った“世界で一番読まれている”ネコ 「トムとジェリー」や「フィリックス・ザ・キャット」と共に高い人気を誇る“ネコキャラ”ガーフィールドが誕生したのは1978年のこと。漫画家ジム・デイビスが新聞に描いたコミック・ストリップ(新聞用の連載漫画)で、わがままな家ネコのガーフィールドが、優しい飼い主ジョンやいぬのオーディと様々な騒動を巻き起こす。ガーフィールドの皮肉屋で奔放なキャラクターは瞬く間にブレイクし、全米約40紙だった掲載紙は5年後には1000紙を突破。さらに、ガーフィールドの人気はアメリカを飛びだし、日本を含む世界2000紙超の新聞へと広がって、2015年には「最も広く掲載されたコミック・ストリップ」としてギネスに認定されている。 ■ビル・マーレイがガーフィールドを演じた実写版も製作 1988年には初のアニメ化作品「ガーフィールドと仲間たち」がスタート。ガーフィールドがジョンや動物仲間と繰り広げる大騒動が話題を呼んで、人気コンテンツとして定着した。2009年からは「ガーフィールド・ショー」として新たにCGアニメシリーズになったほか、『ガーフィールド3』(07)や『ガーフィールド・ザ・ヒーロー』(09)などビデオ向け長編CGアニメーションも製作された。 そんなガーフィールドのスクリーンデビュー作が実写映画『ガーフィールド ザ・ムービー』(04)だ。ジョンと平和な日々を送っていたガーフィールドのもとに、ビーグル犬のオーディがやって来た。ジョンを独り占めできなくなったガーフィールドはオーディを家から追い出すが、オーディが悪党に囚われたと知り救出に向かう。ガーフィールドのキャラデザインは、原作の雰囲気そのままに毛並みなど質感や動きをリアルに実写化。人間はもちろん、ネズミやネコ、いぬなど動物たちはトレーニングされた動物タレントで、両者の合成など凝った視覚効果も楽しめる。 ガーフィールドの声を演じたのは「ゴーストバスターズ」シリーズのビル・マーレイで、うぬぼれ屋で自己中なキャラクターはピッタリだ。ガーフィールドは人と言葉が通じないため、ジョンとのやり取りはガーフィールドのモノローグ。マーレイのとぼけたトークが味わえるほか、ラスト近くにはジェームス・ブラウンの「アイ・ゴット・ユー」を熱唱するサービスぶり。ジョンが心奪われるヒロインのリズ役で、90年代に大活躍したアイドル女優、ジェニファー・ラブ・ヒューイットが出演しているのも見どころだ。 2006年にはマーレイを含む主要キャストが再び集結した続編『ガーフィールド2』も公開された。英国を訪れたガーフィールドが動物愛好家の貴族のお家騒動に巻き込まれる物語。ガーフィールドそっくりな貴族ネコ、プリンス12世や、その家臣の多彩な家畜たちが活躍する王道の動物エンタメ作に仕上がっている。 ■ガーフィールドが「ミッション:インポッシブル」さながらの任務に挑む 最新作『ねこのガーフィールド』は、ディズニー初の単独長編CGアニメーションである『チキン・リトル』(05)のマーク・ディンダルによる監督作。ラザニアが大好物なぽっちゃり体型のガーフィールド(声:クリス・プラット/山里亮太)は、飼い主ジョン(声:ニコラス・ホルト/花江夏樹)に甘やかされて幸せな日々を送っていた。そんな彼の前に、突然生き別れた父ネコのヴィック(声:サミュエル・L・ジャクソン/山路和弘)が現れる。彼と悪女ネコ、ジンクス(声:ハンナ・ワディンガム/MEGUMI)とのトラブルに巻き込まれたガーフィールドは、ジョンの家で共に暮らす親友のいぬ、オーディと共にミルク強盗作戦に駆りだされることに。 ガーフィールドと父ヴィックの親子の絆を軸に展開されるが、ヴィックはガーフィールドの親だけに意外とドライな性格で、ぬくぬく育った息子を半ば強制的に過酷なミッションに担ぎ出す。列車を使ったアクション&スペクタクルに、「ミッション:インポッシブル」シリーズさながらのスリリングなミルク強奪計画などスケール感ある見せ場の連続。ドタバタギャグやトリッキーな動きで笑わせる、アニメーションならではの作品になっている。 3DCG作品だがリアルに振りきらず、原作の味わいを残したタッチも心地よい。だらけた日常やジョンとの出会い、スマホや配信コンテンツに浸りきった日常まで丁寧に追っているため、現代版ガーフィールドの入門としても役に立つ。 ■ガーフィールドをクリス・プラットが熱演!楽しい仕上がりの日本語吹替版もオススメ そんな本作でガーフィールドの声を担当したのがクリス・プラットだ。ディズニー/ピクサーの『2分の1の魔法』(20)や日本でも記録的ヒットした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(23)などで声優としても大活躍しているプラットが、得意のオレ様テイスト全開でわがままネコを熱演。山里亮太による日本語吹替版も楽しい仕上がりで、どちらをチョイスするか悩む人もいるだろう。 5月に公開された全米をはじめ、ヨーロッパ、アジア各国で軒並みランキング1位のヒットを記録した本作。これまで描かれてこなかったガーフィールドのオリジンを含め、新スタンダードというべき本作で「ガーフィールド」の魅力をたっぷり味わってほしい。 文/神武団四郎