トラウマ過ぎる楳図かずお版「ウルトラマン」 バルタン星人のエピソードが「完全にホラー」
ウルトラマンキッズにはトラウマもの?
11月5日、漫画家の楳図かずお先生が2024年10月28日に死去したと、小学館より発表されました。楳図先生といえば、『おろち』や『漂流教室』などの傑作ホラーマンガがよく知られていますが、実はあの国民的ヒーロー『ウルトラマン』のコミカライズを手がけていたことをご存じでしょうか。 【画像】えっ、ビジュアル怖すぎ! こちらが楳図かずお版「バルタン星人」です しかも、TV放送されたオリジナル版『ウルトラマン』と比べると、ホラー&怪奇色が強いエピソードや描写も多く、楳図かずお節満載のマンガに仕上がっているのです。 「ウルトラマンシリーズ」屈指の人気怪獣にスポットが当たり、冒頭エピソードである「バルタン星人の巻」が象徴的です。オリジナル版もホラーテイストが強めでしたが、楳図かずお版はその比ではありません。 物語は、岩手県で謎の赤い雨が確認されたことから始まります。血のようにまがまがしく降り注ぐ物体の正体は、バルタン星人たちがバクテリア状になったもの。宇宙を放浪していた彼らは、地球を自分たちの入植地にするべく、人類に寄生しようとしていたのです。 最初の被害者である神山博士は、赤い雨の調査中、バクテリアに触れてしまい、バルタン星人に意識を乗っ取られてしまいます。深夜に起き出したかと思えば、ガソリンを美味しそうにゴクンゴクンと飲み干します。赤く血走った目、血をすすったばかりの吸血鬼のようにガソリンを口元から滴らせる姿は、もはや人間ではなく、怪物そのもの。ウルトラマンキッズが本作を読んだなら、恐怖を感じずにはいられないでしょう。 またエピソードだけでなくバルタン星人そのもののビジュアルも、オリジナル版と比べるとより不気味な仕上がりになっています。背中にはセミのような羽が2枚付いており昆虫テイストが強くなっており、虫が苦手な人なら思わず嫌悪感を抱いてしまいそうです。また特徴的なハサミは、血管が浮き出ているうえに鋭い牙も飛び出す仕様になっています。 「バルタン星人の巻」は全10話構成で、大部分がオリジナル展開となっています。なぜこれほどまで、自由な作風で描けたのでしょうか。実は楳図先生のマンガ連載がスタートしたのは、本家『ウルトラマン』が放送される前のことでした。先行連載として、放送がスタートした時点では4話分が掲載済みで、番組制作と同時進行だったため、オリジナル色が強くなっていったのです。実際、回を追うごとにTV番組とリンクする部分も出てきますが、全体として楳図かずお節全開の本作は、数あるウルトラマンのコミカライズ作のなかでも唯一無二の存在感を放っています。 楳図かずお先生による異色マンガ『ウルトラマン』は、電子書籍にて上・下2巻で配信中です。本作を読んだことが無い方は、ぜひこの機会に読んでいただきたいものです。
マグミクス編集部