株式投資にもある「利回り」の概念、配当利回りに注目した投資で大切なこととは?
「利回り」というと、債券や預貯金など比較的、収益性の安定した金融商品に適用される概念というイメージですが、実は株式にも利回りの概念があります。 【画像】金利のしくみ
株式にもある「利回り」
利回りは、一定期間中に生じたインカム収益が、購入時の元本に対して何%になるのかを示す収益率です。それは以前、債券の利回りでも説明したとおりです。総じて、収益性について語られる時、「利回り」が用いられるのは、債券や預貯金などのような、収益のブレが比較的小さな金融商品が中心になります。 でも、実は株式のようなリスク性商品にも、「利回り」の概念があります。 株式投資というと、多くの方は株価の値動きに乗じ、安く買い高く売ることで、その差額を収益にするというイメージで捉えていると思います。いわゆるキャピタルゲインです。 キャピタルゲインは、その株式を買いたいという投資家と、売りたいという投資家との間の需給バランスによって生じます。買いたいという投資家が多ければ、株価は上昇しますし、売りたいという投資家が多ければ、株価は下落します。 もちろん、最終的に株価は、会社の業績、付加価値などが反映されたうえで価格形成されるものですが、目先的には市場心理が強く反映されます。市場全体が強気になれば、買い手が増えて株価は上昇しますし、弱気になれば、売り手が増えて株価は下落します。つまり、キャピタルゲインには、多分に市場参加者の心理が色濃く反映されるため、ある意味、かなり不安定なものになりがちです。
安定収益となる配当金
一方、株式にはもうひとつの収益源があります。それが「配当金」です。 配当金は、株価の値上がり益とは異なり、市場参加者の心理に左右されるようなことはありません。売上から各種経費、ならびに税金を差し引いた後に残された「税引後利益」から、配当金が支払われます。 もちろん企業としては、さらに成長していくために必要な投資も随時、行っていく必要があるので、税引後利益の全額を配当金として支払うわけではありません。税引後利益の一部は将来、必要に応じて設備投資や人材投資を行うのに必要な軍資金として、内部留保に回されます。ざっくりいえば、税引後利益から内部留保として確保する資金を除外した残金が、配当の原資になります。 つまり配当金の額の多寡は、市場参加者の心理とはまったく関係なく、企業の配当政策によって決められます。したがって、キャピタルゲインに比べると、配当金の方が収益としては安定しています。 株式の配当利回りは、年1回の本決算時と中間決算時に支払われる配当金が、自分の投資した株価に対して何%かということで示されます。 仮に1株につき年間120円の配当金を出している企業の株式を、1株3000円で購入した場合、この株式の配当利回りは、 120円÷3000円=0.04=4% になります。これが2500円の株価で購入した場合なら、配当利回りは4.8%になりますし、株価が3500円なら、配当利回りは3.43%になります。