株式投資にもある「利回り」の概念、配当利回りに注目した投資で大切なこととは?
減配や無配に注意
このように配当利回りは、株価の変動によって上昇、低下を繰り返します。株価は時々刻々と変動しているので、どの株価で投資したのかによって、配当利回りは変わってきます。同じ銘柄でも、投資した時の株価が違えば、配当利回りも違ってくるのです。 ただし、ここは間違いやすいので注意していただきたいのですが、自分が株式を買った時の株価、つまり買付コストは、その後、いくら株価が上下しようとも変わりません。したがって、投資先企業が配当金を買えない限り、得られる配当利回りは不変です。前述の例で言うと、年間120円の配当金が得られる企業の株式を、3000円の株価で買い付けられれば、その後、株価が5000円になっても、あるいは1500円になっても、配当利回りは4%のままです。 とはいえ配当金の原資は、基本的に企業の利益から捻出されるものなので、その企業の業績が悪化した場合などは、見込み通りの配当金が得られなくなるケースも、想定しておく必要があります。業績が悪化した場合には、配当金の額が減らされる「減配」や、あまりにも業績が悪い時には、配当金そのものを中止する「無配」になる場合もあります。
高配当利回り銘柄投資の注意点
では、配当利回りは高いほど良いのでしょうか。これについてはいくつか注意点があります。 まず、配当利回りが高いのは、株価水準が非常に低いことの裏返しでもあります。株価急落が業績悪化要因だとすると、下手をすれば減配や無配になるリスクがあることも、考慮しておく必要があります。 また、高い配当利回りは、その持続性にも注意しておく必要があります。たとえば特別利益が生じた結果、その期だけ大幅増配をするケースがあります。この手の高配当は、その期が過ぎると元の配当水準に戻ってしまい、配当利回りが急低下する恐れがあります。会社創業〇〇周年などによる記念配も同様です。 配当利回りに注目した投資で大事なのは、常に安定的に配当金が出ていることです。今期の配当金をベースにした配当利回りだけに注目するのではなく、過去からの推移を見て、連続増配が続いている銘柄や、常に安定した配当金を出している銘柄の中から、配当利回りの高い銘柄を選ぶようにしましょう。
鈴木雅光(金融ジャーナリスト)