大谷選手のサイン入りユニホームをPRする中村さん（和歌山市で）

　米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手（30）の今季のレギュラーシーズンが30日（現地時間29日）、終わった。前人未到の1シーズン「50本塁打、50盗塁」を達成し、「54本塁打、59盗塁」まで伸ばした。県内でも、活躍を楽しみにしていた人も多いだろう。サイン入りのユニホームを飾っている和歌山市の温泉施設には、来訪者が相次いでいるという。（佐武建哉）

　同市鳴神の「花山温泉」。施設の運営会社の社長、中村源吾さん（55）は、大谷選手が日本ハムに所属していた2015年、2人の息子と一緒に阪神甲子園球場（兵庫県西宮市）を訪ねた。

　阪神との交流戦前の練習を見学。レプリカのユニホームを着ていた息子のもとに突然、大谷選手が駆け寄ってきた。感動する息子の目の前で、サインをしてくれたという。中村さんは「とにかく背が高く、体の線が細いという印象を受けた」と振り返る。

　ユニホームはその後、家族の宝物になった。息子が学校に着ていったこともあったが、大谷選手が米大リーグで「二刀流」として大活躍したことを受け、数年前からは施設の渡り廊下で展示を続けている。

　大谷選手の偉業達成後、ユニホームを眺める客の姿がよくみられるという。中村さんは「個人の記録よりも、チームの勝利を追い求める大谷選手の姿勢はすごい。これからも応援していきたい。このユニホームも、いろいろな方に見てもらえればうれしい」と話した。

　野球熱の高い和歌山では、大谷選手のプレーに感動した人もたくさんいたとみられる。

　和歌山市本町のわかやまスポーツ伝承館の館長で元球児の江川哲二さん（61）もその一人だ。五輪のメダリストやプロスポーツ選手との交流もある江川さん。大谷選手と会ったことはないというが、「世界初の記録を達成した大谷選手には1人のファンとして『ありがとう』と言いたい。野球発祥の地のアメリカで歴史を塗り替えた大谷選手は日本人の誇りだ」と語った。