野球で成果、内申ほぼ満点でも「普通に落ちる」 緊張に汗した難関高校の“面接対策”
中3受験時の“準備と努力”が高校入学以降に磨かれた
それでも、試験本番の集団討論は緊張し、「汗をかいたのを覚えています」と振り返る。試験官から1枚の紙が渡され、テーマを一読した後に受験生4、5人で討論が始まる。15歳にとって、互いの意見を交換しあう機会はそう多くはないが、学校生活からしっかりと自分の意見を伝えていた経験が大きかった。 「しゃべることは好きだったので、発言量という意味では自信を持って、面接後の帰路に就いた記憶があります。でも、野球で元々知り合いだった選手も受験していて、僕がしゃべったら、『いや、僕は彼と違う意見を持っているのですが……』と返してきて、焦ったことは覚えています(笑)」 無事に合格を勝ち取った鈴木さんは、2008年に4番打者として春夏連続で甲子園に出場。慶大でも2年秋からベンチ入りし、3年春のリーグ戦優勝に貢献する活躍を見せた。現在は大手総合酒類メーカーに勤務するかたわら、今年2月に弟の健介さんとグラブブランド「YK BROTHERS」を設立。慶応で過ごした7年間が、その後の社会人生活の基盤となっていることは間違いない。 「慶応は自分で考えたり、主体性を持ってやることを重視している学校です。中3の受験の時から準備、努力をして、しっかりと考えるということが、高校に入ってから、さらに磨かれた気がします」 野球、勉強と真摯に向き合った学生時代があったからこそ今がある。鈴木さんはこれからの人生も全力で駆け抜ける。
内田勝治 / Katsuharu Uchida