「勉強ができる」でイジられた人たちの“苦い思い出” 「習っていない漢字を書く嫌味な奴」「頭はよくても跳び箱はできないんだ」…イジリが嫌で手抜きグセがついたも
本来「勉強ができる」「頭がよい」といったことは褒められてよさそうなもの。しかし子供時代は、それがもとで嫌味を言われたり、からかわれたりした経験がある人も珍しくない。心無い言葉を受けたことがある人たちに、その体験を聞いた。
勉強ができると「嫌味なヤツ」
大学進学まで四国地方で生活していたWさん(20代/男性)は、小学生時代は「神童」と呼ばれ、そのまま地元の中学校へ。高校は地元で一番の進学校へ入学し、大学で上京した。Wさんは「田舎の子供コミュニティでは、“勉強ができる”ことがイジりの対象となりやすいかもしれない」と話す。 「小学生の頃は、特に勉強をしていたわけでもないのですが、『わからない』ことがありませんでした。強いて言えば、本を読むのが好きで漢字はよく知っていました。そのせいか、テストのときにまだ“習っていない”漢字を使って問題を解いたら、先生からバツにされた記憶があります。解答が間違っているならわかりますが、合ってはいるのにバツはどうかと子供心に思いました。抗議するほどではないので黙っていましたが……。 ただ、その私の答案用紙を覗き込んだクラスメイトが、『あいつは習ってもいない漢字を書いて、嫌味なヤツ』みたいな陰口を言っていると、耳に入ってきました。別に私は自慢してはいないのですが……。それ以来、遊びに呼ばれないなど、地味に除け者にされるといったことはありました。当時はいじめと思っていませんでしたが、今思うといじめの部類だったかなと思います。 こうしたことがあったので、いつからか答案が返って来るとすぐに丸めて隠すようになり、100点の答案は“見せてはいけないもの”になりました。周りに何を言われるかわからないからです。高校は進学校に行き、単純に成績がよい=スゴイという価値観で、楽になったのを覚えています」(Wさん)
「頭はよくても跳び箱はできないんだ…」
近畿地方出身のUさん(30代/女性)は、小学生時代「公文(くもん)式学習」をしていたが、親からは「公文のことは学校では喋ったら駄目」と厳しく釘を刺されていた。 「公文の算数と国語をやっていたのですが、算数は小学5年生で高校2年生の基礎レベルまで終わっていました。ただこれは“公文あるある”で、ゲーム感覚でどんどん先に進む子というのは少なからずいるんです。高校数学といっても計算問題ベースで、図形とか応用問題を解くわけでもないですしね。 おかげで小学生時代、特に算数は100点以外取ったことがありません。テストも5分や10分で終わっていました。一方で、親からは公文のことは秘密にしろという厳命がありました。理由は『学校の勉強を先取りしていることがバレたら色々と面倒だから』で、意味はわからなかったものの、言いつけは守っていました。 とはいっても基本的に100点しかとらないので、勉強ができることはバレバレです。私はぽっちゃりで目が悪く、体育が苦手だったのですが、跳び箱が飛べなかったりすると、『頭が良くても跳び箱はできないんだ』と揶揄されたり、『勉強ばっかしてるからデブる』『メガネのガリ勉』などと大声ではやし立てられたりもしました」 「頭は良くても○○はできない」というフレーズは、他にも多数あったというUさん。 「『頭は良くても遅刻するんだ』とか、『頭が良くても字はヘタだ』とか。全然関係ないのに、勉強ができる人はすべてのことができて当たり前で、人格者であるべきみたいな目線は面倒くさかったです。ただ、中学で大阪の中高一貫校に行くと、私は凡人。スゴイ人ばかりの衝撃で凹みましたが、いかに自分が小さな世界にいたかということはわかったように思います」(Uさん)