【岸和田競輪・GⅠ高松宮記念杯】石井貴子が大けが克服しパールカップでGⅠ初制覇
<13日・岸和田競輪・3日目> ■ヒロイン 石井貴子が、自分でも信じられない復活劇のヒロインになった。「何度もつねってみたけれど、少し痛いので大丈夫みたい」。けがでどん底を味わい「骨は折れてもくっつくし大丈夫だけど、心が折れてしまって『もう走れない』と思ったこともある。またこんな日が来るなんて」と、喜びよりも驚きを口にした。 【女子賞金ランク表 児玉碧衣がトップ堅持、パールカップV石井貴子が急追3位】 2015年の松戸ガルコレで初タイトル。その後も20年のガールズドリームまで、5個のタイトルを手にした。だが21年5月、京王閣でのガルコレで落車して、大けがを負った。その後も練習中の落車を含めて何度も負傷。最後の大けがから昨年7月に復帰した。「けがをしてから今日まで、『今日できることを考えて精いっぱいやる』と、それだけを考えてやってきた」と、先の見えない日々の中で努力を重ねた。その日々の積み重ねが、GⅠ初出場でのVにつながった。 東の準決で4着に敗れたが、西4着だった児玉碧衣との初日の着順比較で上位になり、決勝に進んだ。だが、4着選手は7番車しか与えられない。「外枠なので7番手になると思っていた」。レースではやはり7番手だが、そこは先行タイプの同期・奥井迪の後位だった。「この勝負権のあるところは渡さないと思った」。奥井が鐘3半からスパート開始。それに合わせて終1角では、吉村早耶香や山原さくらも奥井好位への飛び付きを狙ってきた。「3車並走になって、後輪が接触した感じがあった」。それでも強い気持ちを持って、奥井の後ろは最後まで誰にも譲らなかった。 GP切符を手にしたが、「このタイミングでグランプリのことを聞かれたことはなかった。過ごし方は今までと違うと思う。でも、この先もひとつずつ、やっていければいいと思う」。大けがの前までの強い〝おたかさん〟のころに、時計を巻き戻した。奥井も42歳ながら2着。デビュー10年、106期の時代は、まだまだ終わらせない。
◆石井貴子(いしい・たかこ)1990年2月17日生まれの34歳。岐阜県美濃加茂市出身。早大卒。。2014年5月、千葉支部106期でデビュー(西武園①①❶)。通算成績は659走で319勝、優勝88回。主なタイトルは、24年パールカップ(GⅠ)、ガールズケイリンコレクション(15年9月松戸、17年3月高松、18年5月平塚、20年8月名古屋ドリームレース)、ガールズケイリンフェスティバル(19年7月別府)。通算取得賞金は1億2694万200円。ホームバンクは松戸。163・1センチ、60キロ、太もも57・5センチ、O型。