【府中牝馬S】ブレイディヴェーグ、これがGⅠ馬の実力だ エリザベス女王杯制覇以来11カ月ぶり出走でV
2番人気でクリストフ・ルメール(45)=栗・フリー=騎乗のブレイディヴェーグが、中団追走から直線で末脚を伸ばしてV。昨年のエリザベス女王杯を制して以来の実戦だったが、鮮やかな復活を見せた。次走は未定。2着は10番人気のシンティレーション、1番人気のマスクトディーヴァは3着に敗れた。 【写真】秋華賞に続いて2日連続のメインVとなったルメール騎手は左拳を突き上げて喜んだ GⅠ馬の実力をまざまざと見せつけた。11カ月の休み明けも何のその。メンバーただ一頭のGⅠ馬ブレイディヴェーグが豪快に突き抜け復帰戦をV。秋華賞(チェルヴィニア)に続き、2日連続のヒーローとなったルメール騎手が拳を握った。 「最後の末脚は気持ち良かったです。後ろでも心配はしていなかったし、自分のリズムを見つけてくれた。3~4コーナーの手応えは良かったし、あとは自分の道を見つけるだけでした」 やや出負けする格好となったが、鞍上は「長い休みだったのでリスペクトしないといけない」と愛馬のリズムに合わせて後方待機を選択。直線に向いた時点では前とは差があったものの、鞍上が左鞭を一発入れるとエンジンに火がついた。馬場の中央から一枚上の豪脚を披露。残り100メートルで先行各馬をのみ込み、夕日に映えるゴール板へ飛び込んだ。 GⅠ初挑戦となった昨年のエリザベス女王杯で、いとも簡単に古馬を一蹴した天才少女。だが今年はドバイターフを飛節の腫れで断念すると、仕切り直しの一戦に定めた新潟記念も筋肉痛で回避する憂き目にあった。〝三度目の正直〟となった始動戦で果たした一発回答。宮田調教師=写真=は「馬自身にとって苦しい休みだったと思います。その中で、これだけの走りを見せてくれた彼女の走りにただただ感動しました」と敬意を表した。 次走についてトレーナーは「反動がある可能性もありますし、馬体を見極めてから次のプランを立てていきます」と明言を避けたが、苦難を乗り越えてターフに帰ってきた才媛の前には無限の可能性が広がっている。鞍上も「能力はチェルヴィニアと同じくらいのレベル。コンディションが良くなれば、トップレベルで勝てると思う」と期待を寄せる。名牝の物語が秋晴れの府中で動き再び出した。(山口遥暉) ■ブレイディヴェーグ 父ロードカナロア、母インナーアージ、母の父ディープインパクト。鹿毛の牝4歳。美浦・宮田敬介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績6戦4勝。獲得賞金2億2687万6000円。重賞は2023年GIエリザベス女王杯に次いで2勝目。府中牝馬Sはクリストフ・ルメール騎手が15年ノボリディアーナ、18年ディアドラに次いで3勝目、宮田敬介調教師は初勝利。馬名は「広い道(オランダ語)」。