「戸建住宅」メーカー115社 増収増益 3年連続増収も、減益企業は半数に
全国「主要戸建メーカー、ハウスビルダー115社」動向調査
全国の主要戸建メーカー、ハウスビルダー115社の2023年度決算(2023年4月期-2024年3月期)は、売上高8兆1,214億円(前年度比3.8%増)、利益4,728億円(同17.8%増)と増収増益だった。 2023年度の新設住宅着工戸数(持家+分譲戸建、国交省)は、前年度から1割減(9.9%減)の35万3,237戸にとどまった。その一方で、主要企業の売上高、利益の合計は過去5年間で最高を記録しており、資材高や労務費などのコスト上昇が価格転嫁に繋がり、業績を引き上げた格好となった。 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、戸建住宅分譲を主力とする企業を対象に、2023年度の売上高が100億円以上、5期連続で売上高と利益が比較可能な115社を抽出した。 個別業績では、増益が51社(構成比44.3%)に対し、減益は64社(同55.6%)と半数を超え、減益企業が前年度に引き続き高止まりした。コストが増加した分の価格転嫁が追い風になった格好だが、利益はターゲット顧客や営業エリアなどにより明暗を分けた。 コロナ禍以降、住宅市場は大都市圏で底堅い需要が継続する一方、郊外では価格高騰と実需にギャップが生じ徐々に需給バランスが崩れて、苦戦を強いられる企業が顕在化している。 さらに、今後は住宅金利の上昇局面に入り、1次取得者が中心の戸建需要の動向も不透明だ。こうしたなか、地域密着の中堅業者では倒産も目立つようになった。戸建メーカーやハウスビルダーには、価格上昇に見合う付加価値のある商品開発が求められるが、同時にスケールメリットやシナジー効果を狙った合従連衡、M&Aも活発になることも予想される。 ※本調査はTSR企業データベース(約390万社)から、戸建住宅の分譲や建築事業が主力の売上高100億円以上の企業を「主要戸建メーカー、ハウスビルダー」と定義。2023年度決算を最新期とした。