錦織フィーバーの一方で沈む女子テニスの現状――日本テニス界に起きている男高女低現象
先週、女子テニスの国別対抗戦であるフェドカップで、日本はアジア・オセアニアゾーンのグループ1部の8カ国でトップに立ち、ワールドグループ2部への復帰をかけたプレーオフ進出を決めた。だが、このことはよほどのテニス通でなければ知らないだろう。 1部と2部を合わせて16カ国あるワールドグループから転落した上、話題性の高いクルム伊達公子も一昨年にフェド杯とは訣別している状況では無理もない。日本のテニス界はすっかり錦織一色になり、それとともに女子テニス全体への興味も失われてしまったかのようだ。 先の全豪オープンでも、本戦に出場したのは奈良くるみと伊達の2人だけで、どちらも1回戦で姿を消した。過去2年はグランドスラム全てに出場した土居美咲がランキングを落として本戦に入れず、予選ではその土居を含めて8人全員が敗退。錦織圭の活躍には、多くの若い女子選手も「刺激になる」「上昇ムードに乗りたい」などと意気込んではきたが、何らかの現象を起こすまでにはいたっていない。 かつて若きエースだった森田あゆみも腰の故障で昨年7月以降戦列を離脱し、復帰の目処はまだ立たず。今やトップ100には44位(2月9日付)の奈良しかいない。奈良の昨年の躍進には驚かされたが、155.5cmという小柄な体格とプレースタイルを考えれば、ここからが厳しい戦いになるだろう。 伊達はもう44歳……44歳である。全豪オープン中に「体がついてこないし、気力も沸かない。先が見えない」と涙を流した元世界4位が、今なお国内のトップ3、ダブルスではトップという現実、まさにそれこそが「先が見えない」日本女子の姿なのかもしれない。 世間の目も随分変わった。〈錦織以前〉は、ウィリアムズだのヒンギスだのシャラポワだのと女子テニス選手の名前は一般的にも知られていたが、男子となるとすでに世界1位になっていたフェデラーでさえあやしいものだった。それが今ではどうだろう。テニスの話などしたこともなかった女性が、突然バブリンカが好きなどと言い出すから驚く。一方で、女子は3位のシモナ・ハレプも皆知らない。