世界初の「鉄道・バス両用」これでいいの? 全運休となったDMV 「やってることバスと同じ」という疑問
モードチェンジを行い一路終点へ
13時58分、室戸岬に到着。観光客で賑わい、カフェもありました。奈半利駅方面からの高知東部交通バスは、こちらの乗り換えが便利です。ここで2名が乗車。海が近く絶景でした。 発車後に計測すると、平均震度は4.9、平均騒音は72.1dbで、結構揺れ走行音も響きます。機器類が揺れる音がするのはDMVらしいです。 14時6分、室戸世界ジオパークセンターに到着。ここも高知東部交通バスと乗り換えられます。次のむろと廃校博物館には14時12分に到着。3名が乗車しました。 ここから約50分は無停車です。14時52分着の海の駅 東洋町では乗降なし。風光明媚な海岸リゾート地でした。 14時56分、阿佐海岸鉄道の甲浦駅に到着。ここでモードチェンジを行い、バスから鉄道となりました。その様子はモニターでも映されました。 DMVは鉄道とは違う小さなホームに到着。元の鉄道用ホームは使われていませんでした。ここでの乗降はゼロ。鉄道モードは走行音や揺れが異なり、計測すると平均震度が3.3、平均騒音が67.2dbと、騒音や振動が減りました。 15時1分、宍喰に到着。5分の停車中に乗客が車両撮影をしていました。乗降はゼロ。宍喰駅を出ると、トンネルが指輪のように続きます。 15時14分、海部駅に到着。ここでも乗降はありませんでした。15時20分、鉄道の終点である阿波海南駅に到着し、2名が下車。再びモードチェンジしバスになると、出発前に運転士が車輪状態を確かめました。 不思議なのは、阿波海南駅の至近にある海部高校前バス停から、徳島バス「室戸・生見・阿南‐大阪線」がDMVと同じ15時20分に発車してしまい、乗り換えられないことです。このバスは大阪に直通し、広域集客に有利なはずですが……。
観光に特化した方が集客を望める?
そのまま道路を走ったDMVは、終点の阿波海南文化むらに15時23分に到着し、3名が下車しました。 結局、鉄道で走る阿佐東線内の乗降はゼロ。室戸岬からの観光集客は必要です。車窓案内のほか、希望者には降りてもらい、外からモードチェンジを見学できた方がよいと感じました。土佐くろしお鉄道奈半利駅までの直通も必要でしょう。 阿佐東線の地域輸送としては徳島バスが並走し、全駅に停留所を置いています。DMVは車両価格がバスより高く、輸送力も小さいです。「バスで十分」と言われないために、きめ細かな接客や、豪華で特徴的な内装など、観光客のリピーターを増やす進化が必要と感じる次第です。 なお、DMV自体には可能性も感じました。通常鉄道との直通はDMV用ホームの新設が必要になり、また自重が軽いDMVはポイント動作に支障をきたすと思われますが、直通先が路面電車ならば車高の低さ、自重問題をクリアしやすく、モードチェンジの施設も簡便にできるかもしれません。また地域輸送ではなく、観光特化すれば客単価を高くできるでしょう。 例えば、高知市内を走る路面電車のとさでん交通から「アンパンマンミュージアム」(高知県香美市)を結ぶ「アンパンマンDMV」として、「チャギントン列車」(岡山電気軌道)のようにアニメを感じさせる内外装で予約制にすれば、好評を博すかもしれません。 ※一部修正しました(10月28日17時30分)。
安藤昌季(乗りものライター)