なぜ窪田正孝“藤竹”は観る者に勇気を与えるのか? NHKドラマ『宙わたる教室』第7話。「いいなぁ」と憧れた名シーンとは?
窪田正孝主演のNHKドラマ『宙わたる教室』が放送中。実話に着想を得て生まれた小説を実写化した本作は、さまざまな事情を抱えた生徒たちが集まる定時制高校に、謎めいた理科教師の藤竹が赴任してくる。今回は、第7話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝のアツい演技が素晴らしい…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
思わず「いいなぁ…」と呟きたくなる昼食シーン
研究者としての道を辞して定時制高校で教師をしている藤竹(窪田正孝)だが、それだけでなく、無給の研究員として大学に通ってもいた。8時から13時は大学で研究、その後に高校へ出勤して23時過ぎまで教員の仕事をして……と考えると、さすがに藤竹の身体が心配だ。だが、この日も深夜に行われていたシアトルの学会発表を見るなど、目の下にクマはつくりながらも、つらそうな様子はない。 そして、藤竹が指導する科学部もまた、研究テーマのために自分たちの気付きやアイデアを認め合いながら着実に形にしていく。重力可変装置を用いたクレーターを再現する装置の調整を行う岳人(小林虎之介)と長嶺(イッセー尾形)、火星の土の再現を試みる佳純(伊東蒼)とアンジェラ(ガウ)。 チームに分かれてく作業を進めていく様子は、なんとも微笑ましい。特に、少し前までは衝突することの多かった岳人と長嶺が、たった2人、長嶺の工場で試行錯誤し、長嶺のつくった昼食を食べているシーンは、多くの視聴者が「いいなぁ…」と呟いたことだろう。分断や壁の、向こう側を見たような気がした。
中村蒼“相澤”の葛藤
一方、藤竹の大学時代の同期・相澤(中村蒼)は、念願だった探査機開発でプロジェクトのリーダーに就任した。ところが、自身が勤めるJAXAと共同研究を行う名京大学の教授・石神(高島礼子)から厳しい期限付きで成果を求められ、追い詰められていた。思うような進捗も得られず、チームのメンバーに声を荒げてしまう。 そんな折、藤竹と相澤の恩師で、かつて石神の指導教員でもあった伊之瀬(長谷川初範)が上京してくる。伊之瀬は、藤竹と気が合うのだろうというのがよくわかる、どこか捉えどころのない人物。だが、伊之瀬と酒を酌み交わす相澤は、研究室での険しい表情から一変し饒舌だ。プレッシャーの最中にはあっても、科学への情熱が揺らぐことはなさそう。 伊之瀬は、石神の辞書に「失敗の2文字は存在しない」と言う。きっと彼女も、とんでもないプレッシャーに打ち勝ちながら研究を続け、教授という立場を得たのだろう。そして、だからこそ、藤竹のように才能がありながら寄り道をしているように見える人のことを認められないのではないか。