20代会社員の孫が「奨学金の返済でお金がない」と言います。一括返済してあげたいのですが、奨学金は教育費なので贈与税はかかりませんよね?
非課税の範囲で援助する方法
Aさんの孫の奨学金を一括返済できる金額をまとめて贈与すれば、贈与税が課税されますが、数年に分けて非課税の範囲(年間110万円)以内で贈与すれば、贈与税が課税されることはありません。 そこで、1年に100万円ずつ3年間贈与し、その都度一部繰上げ返済していくプランをAさんに提案しました。その間、孫は毎月の返済を続けることになりますが、3年後には完済できるでしょう。
援助を決める前に検討してほしいこと
Aさんには検討してほしいことを2つ、お話しました。まず、老後資金が足りているかです。Aさん夫婦はともに70代。今後20年くらいは生活に困らないようなマネープランを立てておくと安心です。そして余裕資金があれば、その中から孫への援助を考えましょう。 もう1つは他の孫とのバランスです。Aさんには3人の孫がいます。そのうち1人だけに300万円を援助すれば、いずれ相続のときにトラブルの種になるかもしれません。子どもや孫にはできるだけ公平に、バランスを取って援助することが重要です。
まとめ
Aさんが孫の奨学金を一括返済してあげると、基礎控除額110万円を超える部分に贈与税がかかります。非課税の範囲で贈与したい場合は、1年間に110万円以下の金額で、数年に分けるとよいでしょう。ただし、自分の老後資金をしっかり確保した上で、他の孫とのバランスも考えながら、贈与を決めましょう。 執筆者:蟹山淳子 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部