福島・国見町、企業版ふるさと納税停止…不適切運用 地域再生計画、初の取り消し
内閣府は22日、企業版ふるさと納税を利用した事業で不適切な運用があったとして、福島県国見町の地域再生計画を取り消した。同町の高規格救急車事業を巡り、町が寄付の代償として、寄付会社に便宜を図ったと判断された。新たな計画が認定されるまで、企業版ふるさと納税の寄付が受けられなくなる。計画取り消しは全国で初めて。 問題となったのは、高規格救急車の開発・リース事業。寄付した企業のグループ会社が開発を請け負ったことで、資金の還流だとの指摘が出て、事業は中止された。 企業版ふるさと納税は、寄付額の最大9割が法人税などから控除される。寄付した企業や子会社が受注しても公正なプロセスを経ていれば問題はないが、伊東良孝地方創生担当相は22日の記者会見で「(町が)寄付の代償として便宜供与をしたと判断した」と述べた。今後、制度の改善策を検討する。 町は2021年度末から3年間の期間で、内閣府から計画の認定を受けた。町の担当者は「結果を厳粛に受け止め、今回の問題を受けて策定した対応策を基に再発防止に取り組んでいく」と述べた。町や第三者委員会の調査報告書によると、町が受けた企業版ふるさと納税で、21、22年度は救急車事業に関する寄付3件計約4億3千万円があった。23年度は救急車事業と関係のない寄付1件15万円、24年度はこれまでに寄付はなかったという。
福島民友新聞