ラガルドECB総裁、ユーロ圏の統合強化促す-トランプ氏復権念頭
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は18日、生産性の伸びが鈍化し、世界が対立するブロックに分裂する中で、欧州は防衛や気候変動などの分野で資源を共有すべきとの考えを示した。
同総裁はパリで講演し、デジタル時代の進歩という点で欧州は最前線から立ち遅れていると同時に、自由貿易が一段と疑問視され、先進国同士が規制で分断されていると指摘。
「生産性向上のために結束し、優先事項が緊密に収束している国防や環境対策などの分野で資源を共有すれば、望む結果を得られると同時に、公的支出の管理も効率化できる」と語った。
こうしたユーロ圏統合強化の呼びかけは、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰すれば、保護主義の新たな時代が加速し、特に欧州経済に悪影響を及ぼし得るとのECB政策委員会のメンバー内で浮上している見方を反映している。
ただ、ラガルド総裁が用意した講演テキストはトランプ氏を名指しせず、インフレや金融政策への言及もなかった。
同総裁は欧州連合(EU)に対して、起業家やイノベーション(技術革新)のため貯蓄をより効果的に活用できるよう、資本市場の障壁を取り除き、生産性の向上を図るよう要請。
「もはや、独立した経済の緩やかな連合体としてわれわれ自身を見ることはできない。世界が最大級の経済圏を中心とした地政学的なブロックに分裂しつつある今、そのような見方は時代遅れだ」と述べ、「今は単一の巨大経済として自分たちを見る必要がある」との認識を示した。
原題:Lagarde Urges Europe to Pool Resources for Shared Priorities (抜粋)
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William Horobin