<ワールドカップ>優勝候補、ブラジルに死角はないか
ブラジルワールドカップの開幕を目前に控え、優勝候補に開催国、ブラジルを挙げる声が強い。主要ブックメーカーのほとんどが4.0倍前後のオッズでブラジルを本命に推している。掛け率で、10倍を切っているのは、アルゼンチン、スペイン、ドイツの順で、この4チームだけなのだが、南米開催で欧州チームの優勝はないというジンクスと共に、“プレW杯”のコンフェデ杯(ブラジルがスペインを3-0で下し優勝)で勝ったチームは、本大会で勝てないというジンクスもある。果たして、大本命、ブラジルに死角はないのだろうか? ■城彰二「死角は開催国ゆえのプレッシャー」 1998年のフランスワールドカップ出場メンバーで、現在インテルの日本アカデミーを教えている城彰二氏は、WEBサイト、アスリートジャーナルで、ブラジルを優勝候補の筆頭としながらも、そこに死角がないわけではないと指摘している。「死角があるとすれば開催国ゆえのプレッシャーでしょう。スコラーリが組織の意識を受け植えつけてはいますが、飛び抜けた才能と個性を持った選手の集団です。彼らは、ひとつ勢いに乗れば止められませんが、プレッシャーが原因でミスが生まれ、先に失点でもして、一敗でもすれば、空中分解してしまう危険性もあります。ネイマールは、バルサでは、ほとんど左のポジションにはらされ、ボールを受ける位置を制限されるなど、動きについても、色々なチームの制約に縛られ、能力を発揮できませんでした。自由度が増す代表チームの方が持ち味を出せると見ていますが、そのバルセロナと、ブラジル代表チームのシステムの違いに慣れるまでに時間がかかってしまう可能性もあります」。 ■イビジャ・オシム「注目や期待されすぎてることが死角」 元日本代表監督のイビチャ・オシム氏は、近著『信じよー日本が世界一になるために必要なこと』(KADOKAWA刊)にて、ブラジルが優勝の大本命だとした上で、その裏にある危険性について、こう書いている。「優勝候補として注目や期待がされすぎていることこそ、彼らの死角なのだ。それは、大きなプレッシャーである。プレワールドカップとも言えるコンフェデ杯でブラジルは優勝を果たしたが、本番でのプレシャーは比較にならない。きっと精神的に耐えるのが難しい状態に追い込まれることになる。また彼らは、毎試合、ダービーを戦わねばならない。グループAに入ったクロアチア、メキシコ、カメルーンの3チームは、大国ブラジルに勝つことに照準を合わせ、ネイマールを止めることに躍起になってくる。優勝候補が、1チームではなく、2チームいれば、それほどのプレッシャーはないだろう。ブラジルのメディアは、アルゼンチンやスペインも優勝候補にすべきだ。そうすれば、ブラジルの負担も軽くなる。またブラジルのサッカーにおいての死角は、似たような選手が多いということだろう。あくまでも私の印象に過ぎないのだが、ワールドクラスの選手が各ポジションに揃い、一見、個性軍団のようにも思えるが、一人ひとりを観察していくと、意外と、そのプレースタイルに変化がない。非常に攻撃的ではあって、攻撃をずっと続けていれば問題はないが、カウンターという逆襲を浴びる死角も見え隠れしている」