豪商・三井家の歴史学ぶ 勢和中3年、修学旅行の事前学習で 三重・多気
勢和の語り部会・松本さんが講演
三重県多気郡多気町片野の町立勢和中学校(吉田武弘校長、119人)の3年生45人は、修学旅行で東京の三井家ゆかりの地を巡るのを前に、10日午前9時45分から、三井家の歴史などを学ぶ学習を行った。 同町は、三井グループの基礎を築いた三井高利の母・殊法の出身地であることなど、三井家などの豪商に深い関わりがあることから、昨年から修学旅行でゆかりの地を訪れている。 今年は22~24日の2泊3日の予定で、東京都の三井住友信託銀行日本橋営業部や、三井不動産㈱の日本橋室町三井タワー防災センターなど、三井グループの地を見学する。 この日の事前学習では、勢和の語り部会(7人)の松本直人さん(73)=丹生=が、豪商と水銀の関わりをテーマに講演した。松本さんはまず、殊法が丹生出身で地元豪商・永井家で生まれて三井家に嫁いだことを説明。松本さんは「高利の父親は近江の武士の家柄で、高利は商売については母親からよく学んだ」と話した。殊法の人柄について「お客さんを大事にして、薄利多売の商売で物を粗末にしなかった。信仰心のあつい人だった」と語った。 また、丹生は水銀鉱の辰砂(しんしゃ)の生産地で、奈良時代には奈良の大仏の建造で金メッキを施すため丹生の水銀が使われるなど需要が高まり、全国から丹生に人が集まったという。「当時は金銀銅の上に水銀があるほど値打ちがあった。集まった人相手の商売で豪商が生まれ、その中に永井家もあった」と、水銀と豪商との関わりを説明した。 その後、生徒たちは相可の町郷土資料館に移動し、辰砂などについてさらに深く学習した。 同校の志村にこさんは「町出身の人が大グループに大きく関わっているのが面白かった。三井家ゆかりの会社を見たことがないので、楽しみ」と話した。