今季初のナイター登板…阪神・才木を狂わせた“体内時計のズレ” 吉見さん「昼に慣れると夜への調整は難しい」
◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」◇25日 阪神0―1中日(倉敷) 倉敷での公式戦は7年ぶり。中日、阪神、倉敷といえば誰もが燃える男を思い浮かべるはずだ。星野仙一記念館は、残念ながら3年前に閉館。全ての収蔵品は倉敷市に寄付されたそうだが、問い合わせたところ「展示方法、場所を検討しております」との返答だった。 古い関係者が「倉敷といえば思い出す」と口をそろえるのは桜あんパン。星野さんの大好物だったからで、必ず1001個差し入れがあったそうだ。1998年5月26日も、きっと試合前までは好物をほおばり、ご機嫌だったはずだが…。 「ふる里でいい思い出ができたわ。それだけや」。阪神の川尻哲郎に、屈辱のノーヒッターを献上したのも倉敷だった。星野監督はこの短いコメントだけを番記者に残し、バスへと消えた。恐怖…。しかし、古参スタッフは覚えていた。「当時は試合が終わってからミーティングをするのが当たり前で、それこそ怒鳴り声が響いていたものですが、たしかあの日はなかったんです」。ちなみに試合終了は20時25分。そこから静かで居心地の悪い夜が始まった。 苦い試合から26年。この日、唯一の得点が入ったのは20時6分だった。なぜ時刻を書くのかというと、阪神・才木は今季13試合目にして初めてのナイトゲームだったからだ。ここまでは全て日曜日のデーゲームで8勝3完封と無双だった。23日の雨天中止を受け、火曜日にズレてきた。 「本人は絶対に言わないでしょうけど、それだけ昼の生活が続いていれば、どこかに影響はあったと思いますよ。夜から昼は合わせやすいですが、昼に慣れてしまうと夜への調整は難しい。才木くんにしては、あまり球も良くなかったと思いますよ」 記者席から見ていた吉見一起さんの見解だ。体内時計の4時間ほどのズレ。20時すぎといえば、先週までの才木なら、投げ終えて夕食でも楽しんでいるころだろうか…。難敵から奪った1点を守り切り、マルティネスが試合を締めくくったのは20時45分。さぞや心地よい夜となったことだろう。
中日スポーツ