無駄も異次元!岸田政権の「少子化対策5兆円」が“あまりに的外れ”な理由
「女性の親にすれば、結婚前から『共働きでやっていきなさい』と言いづらいものでしょう。親子で『そういう人が現れるまで……』と待ち続けながら、年を取っていってしまう。『年収400万円以上』というのは、現実のハードルとして高すぎるんです」(山田さん) 人口動態調査でも、2023年の婚姻件数は約47万組と減少の一途。 この「結婚するカップルの数を増やすこと」も大事だが、「少子化対策としては、結婚している夫婦から生まれる子の数を増やすのも重要では」と話すのは法政大学経済学部教授の小黒一正さんだ。 「日本で生まれる子の約98%が、結婚している夫婦から生まれます。その有配偶出生数は1970年代からほぼ『2』をキープしており、『結婚している夫婦からは約2人の子が生まれる』といえるでしょう」 ■第3子以降に支援する出産一時金を1千万円に 結婚する女性の割合は小黒さんの見立てで現状約60%だという。 それがもしも約80%まで引き上げられたとしても、夫婦から生まれる子の数が2のままなら「合計特殊出生率は1.6あたりまでしか上がらない」と小黒さん。 一方、結婚する割合が約60%から増えないとしても、 「夫婦から生まれる子の数が3に増えれば合計特殊出生率は1.8まで上がり、さらに夫婦から生まれる数が3.5に増えれば、同率は2を超える計算に」(小黒さん) とはいえ現実の生活を考えれば、夫婦が3人目の子を持つハードルは高そうなのだが、「そこからが、異次元の少子化対策なんです」と小黒さんは次の提案をする。 「岸田内閣が42万円から50万円に引き上げた出産育児一時金を、第3子以降は1千万円に引き上げる施策です。結婚している夫婦からは2人生まれるのが現状ですので、1千万円プラスされることで、『3人目を持とう』という夫婦は飛躍的に増えると思います」 ただ、それこそ財源が足りないのではないか……。 「今回法制化された加速化プランの『児童手当の拡充』は、第3子以降月額3万円支給で、その子が高校卒業までに最大で合計約650万円支給される見込みですので、1千万円も荒唐無稽ではない。 この施策で年間10万人出生数が増えればそれだけで成果ですが、支出は1兆円ですむ。加速化プラン3.6兆円の枠にも収まるんです」(小黒さん) 本当の意味での「異次元の少子化対策」が必要だ。
「女性自身」2024年7月2日号