創業140周年記念モデル発表のブライトリング、今後の展望は? スイス現地で見た注目イベントと「最高峰の複雑時計」とは
●140年の歴史を体感できるポップアップ・ミュージアム
記念イベントの目玉として2024年8月28日からスタートしたのが、スイスでいちばん大きくビジネスの中心地でもあるチューリッヒでの「Then & Now」ポップアップ・ミュージアムだ。 ジュネーブ中心街にあるこのミュージアムは地上2階、地下1階でブライトリングの歴史と現在をさまざまなかたちで紹介している。 ここを訪れれば、ブライトリングの創業から現在までの歴史が、過去のモデルなど歴史的なアーカイブと映像でわかる。また地下にはフライトシミュレーターも設置され、ブライトリングのエア・アクロバットチームのパイロット気分も楽しめるようになっている。 できるならぜひ日本でも開催してほしいイベントだ。その中でも面白いのは、最新のAI技術を使ってわずかな写真から、レオン、ガストン、ウィリーというブライトリング家3代の姿を“再現”したコンテンツだ。
●マニュファクチュールとして初のパーペチュアルカレンダーモデル
そして今回のハイライトが、8月28日にジュネーブの5つ星ホテル「フォーシーズンズ ホテル ド ベルグ」で発表された、ブラントリングの新開発マニュファクチュール(自社製)ムーブメント「キャリバーB19」を搭載した、3つの歴史を踏まえたデザインで展開されるパーペチュアルカレンダー・クロノグラフ。 自社製としては過去にない最高峰の複雑機構を搭載した、140周年を記念した世界各140本限定のハイエンドモデルだ。
3つのスタイルとは「プレミエ ダトラ」「ナビタイマー」「スーパークロノマット」。ムーブメント自体は同じB19だが、文字盤デザインもケースサイズも異なる。 もっともドレッシーな「プレミエ」。そしてもっともブライトリングらしさがあふれる「ナビタイマー」。そして「スーパークロノマット」は、文字盤がスケルトン仕様でもっともスポーティな仕上がりになっている。 どれも魅力的でプレミアム感たっぷり。しかもこのモデルには限定ナンバー、専用の豪華なスペシャルボックス、トラベルポーチに加えて、140周年を記念して新たに企画・編集・出版された、創業から140年間の間の140のエピソードをまとめた記念ブック『Breitling:140 Years in 140 Stories (ブライトリング: 140の物語が伝える140年)』(リッツォーリ社出版刊)が、しかも購入したモデルが表紙になった本が付属するというからうれしい。
●今後はさらに高度なコンプリケーションモデルも?
1990年代から現在まで、ブライトリングのクロノグラフでコンプリケーション(複雑機構)搭載モデルといえば、セミパーペチュアル(うるう年機構がない、4年に一度修正が必要なカレンダー)モデルや、ベントレーモデルの30秒クロノグラフ(30秒で秒針が1回転する)を思い出す。 また最近のモデルでは、現行のトゥールビヨンモデルが記憶に新しい。 だがジョージ・カーンCEOは「140年の歴史を踏まえて、次世代の時計づくりに取り組む」と語っていた。今回、パーペチュアルカレンダーモデルが登場したことで、今後さらに複雑機構を搭載したモデルの登場を期待せずにはいられない。
渋谷ヤスヒト