娘が「やばい!バイトで稼ぎすぎたから扶養から外れたい!」と言ってきました。親の税負担はどのくらい増えますか?
子どもが高校生や大学生となりアルバイトを始めると、多くの場合、最初は扶養の範囲内で働いていることでしょう。それから子どもがアルバイトに慣れてくると、もっと働くことを希望して「扶養から外れたい」と言い出すこともあるようです。そこで、子どもが扶養を外れた場合にどれくらい親の税負担が重くなるのか考えてみます。
子どもが扶養から外れると、なぜ税金が増える?
子どもを扶養に入れていると、その親の所得には「扶養控除」という控除が適用されます。それにより税金がかけられる前の金額、いわゆる課税対象となる部分の金額が小さくなります。 しかし、子どもが扶養から外れると扶養控除を受けられなくなり、課税対象となる部分が大きくなって税負担が重くなるのです。 子どもが扶養に入っていることで適用を受けられる扶養控除の額は、子どもの年齢によって変化します。具体的には、子どもの年齢が16歳以上であれば一般の「控除対象扶養親族」に該当します。また、19歳以上23歳未満であれば「特定扶養親族」に該当します。 所得税の場合でいうと、子どもが一般の控除対象扶養親族であれば38万円が控除されます。特定扶養親族であれば63万円の控除になります。住民税の例でいうと、一般の控除対象扶養親族は33万円、特定扶養親族は45万円が控除されます。
仮に扶養から外れたら、どのくらい税負担が増える?
続いて、子どもが扶養から外れたらどのくらい税負担が増えるのか考えてみましょう。所得税の税率は収入や控除によって変動します。 例えば、年収500万円で所得税の税率が10%の方において、20歳の子どもが扶養から抜けたと仮定します。すると、特定扶養親族の子どもが扶養から外れるため、63万円分の控除額が少なくなります。 つまり、この63万円に所得税がかかるようになるというわけです。この額に10%の税率をかけると、6万3000円の増加となり、かなり大きな額の所得税の負担が増えることが分かります。仮に所得税の税率が20%の方であれば、12万6000円と、増加する所得税の負担額はさらに大きくなります。 また、住民税は所得にかかわらずおおむね10%の税率となります。住民税における特定扶養親族の扶養控除額は45万円なので、仮に10%として考えると、扶養から外れることで増える住民税額は4万5000円となります。 つまり、20歳の子どもが扶養から抜けることで、所得税と住民税を合わせて、年間10万8000円もの税負担が増えることになります。