クイズで学ぶ日本復帰 3月までパネル展 奄美大島瀬戸内町
奄美群島日本復帰の歴史をクイズ形式で学べるようにと、鹿児島県奄美大島の瀬戸内町立図書館・郷土館はこのほど、オリジナルの復帰クイズを作成し完成させた。「泉芳朗のあだ名は何?」などユニークな設問を70問用意。古い写真と解説を添え、70枚のパネルとして館内に展示。図書館1階から2階の郷土館まで、クイズラリーとして楽しめる。3月31日まで。 日本復帰して今年で70年を迎える奄美群島だが、「復帰運動の本を読むのは難しい」という一般住民に向けて、もっと身近な視点で分かりやすく学ぶ方法はないかと同館が企画。町健次郎学芸員たちが「奄美復帰史」(村山家國著、南海日日新聞社)などの文献史料をベースに、住民からの聞き取り調査なども加えて3択形式のクイズにした。 扱った期間は1945(昭和20)年の終戦から53年の復帰まで。復帰運動のリーダー泉芳朗や、本土側で復帰運動を導いた加計呂麻島出身のロシア文学者昇曙夢などを、易しい言葉で設問にした。地元の瀬戸内町での復帰運動や、かつて大島郡だった十島村にも焦点を当てた。 瀬戸内町に関するクイズでは、警察署などが一斉取り締まりをした古仁屋の場所を問う設問も。古仁屋中学生が駐留していた米兵と盛り上がったスポーツを尋ねる問題もある。 十島村に関しては、46年の「2・2宣言」以降、中之島など下七島でも復帰を求める署名運動が行われたり、学校で「日本復帰の歌」を教えていたりした歴史を解説している。 22日は図書館入り口に看板を揮毫(きごう)した古仁屋高校書道部の生徒が集まり、クイズに挑戦。3年の黒田真利亜さん(18)は「中学校で復帰の劇をしたはずだが知らないことばかり」と話し、1年の小田風夏さん(16)は「答えが間違っていても合っていても、印象に残るいい企画」と楽しんでいた。 6月に企画し、約半年かけてクイズが完成。パネルのイーゼルも海岸の流木を集めて職員が手作りした。町学芸員は「復帰の本をいきなり読むのは難しい。このクイズで歴史のポイントを知ることで、復帰関連本が手に取りやすくなれば」と話している。