「ぐりとぐら」の作者・中川李枝子さん 校庭で見た空…友達と歩いた散歩道「くじらぐも」「さんぽ」は福島で過ごした体験を作品に
2024年10月に89歳で亡くなった、児童文学作家の中川李枝子さん。「ぐりとぐら」の作者としても有名だが、中川さんの作品には福島県で過ごした経験や記憶から生まれたものもあったという。 【画像】中川さんの作品「くじらぐも」 小学1年生の国語の教科書に掲載
6年間 福島市で過ごす
小学一年生の国語の教科書に載っている「くじらぐも」。作者の中川李枝子さんは、戦後間もないころ、小学5年生から6年間を福島県福島市で過ごした。 中川さんが通っていたのが、福島市立福島第二小学校。「くじらぐも」は、小学生のころの中川さんが好きだった校庭に出た時の開放感を表現したという。
後輩たちに愛される作品
福島第二小学校の大内伸一校長は「できる限り子どもたちに、その先輩が残したお仕事とか業績を、これを機会に伝えていこうと思っています」と話す。 小学校の図書室には、中川さんの作品が数多く置かれていて、代表作の一つ「ぐりとぐら」は、長い間母校の後輩たちに愛されている。 そして、アニメ映画「となりのトトロ」のオープニング主題歌「さんぽ」は、中川さんが友達と一緒に福島市の信夫山周辺を歩いた小さいころの記憶をもとに作詞されたと言われている。
作品に込められた「思いやり」
子どもたちの心に残る、多くの作品を残してきた中川さん。企画展などでも、たびたび福島県に足を運んでいた。 約10年前に中川さんと対談した民族芸能などに詳しい懸田弘訓さんは、中川さんについて「ものの見方がすごく繊細、それで鋭い。お話をしていて、たじたじになるところありました」と話す。 そして、一つひとつの作品には中川さんの思いやりが溢れているという。 「どの絵本も夢がある、あれは見事。単なる子どもだまし、教訓的なものではなくて、人としての大きな夢を抱かせるような本。あの方の絵本は、ざっと見たところは子ども向けのように感じるが、その中に思いやりがある。それは歳を重ねて読んで、はじめて理解できた、だから奥が深い。日本の宝として、大いに啓蒙して読んで頂きたい本」と語った。 大人になる子どもたちに、多くのことを伝えてきた中川李枝子さん。その思いは作品を通してこれからも、届けられる。 (福島テレビ)
福島テレビ
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