初V監督の古葉氏が語る広島に受け継がれている伝統
「今年の広島を見ていて、あのときと似ているなあ、強いなあと。重なる点は、ファンの後押しです。マツダスタジアムは、連日、満員のファンで真っ赤に染まっていますよね。。私たちのころも、勝つにつれて市民球場が真っ赤に染まりました。本当に幸せでしたし、力になりました。10月15日に後楽園の巨人戦で優勝が決まったのですが、東京まで、1万人近いファンがかけつけてくれました。 今のチームも同じようなファンの力を感じているんじゃないですか。そうなると鈴木の逆転満塁サヨナラ本塁打のような神がかり的なプレーが出るようになります。優勝するチームには、必ずきっかけになるゲームや重要な出来事があるものです。私たちのときは、7月に甲子園で行われたオールスターゲームで山本浩二と衣笠祥雄の2人がアベックアーチを、しかも2本ずつ打つという驚きの形で打ったことで、赤ヘルの勢いが手のつけられないものになり、私も優勝の確信を得ました。今年のカープは、逆転勝ちが40試合もあるそうですが、あの鈴木が連夜のヒーローになった試合が優勝のサインだったように感じます」 6月17、18日の交流戦のオリックス戦での鈴木の2試合連続サヨナラアーチ。緒方監督が「神っている」と名言を残した試合を古葉氏は、優勝の確信を持てた試合だと指摘した。 古葉氏はインタビューの最後に、こんなメッセージを残した。 「球団創設初優勝を果たした当時は、優勝パレードを広島市内でやってもらいました。30万人もの人と喜びを分かち合うことができました。沿道に遺影を持ってパレードにかけつけてくれた人をたくさんみました。それほど優勝を心待ちにしてくれたファンの方々が多かったのです。でも、それ以来、優勝パレードはしていません。今年こそ、ぜひ、あの優勝パレーを再現していただきい。それが私からのお願いです」 1975年には、優勝の5日後の10月20日に平和大通りで優勝パレードが行われた。沿道は30万人ものファンで埋まり、それが、現在でも毎年5月に行われている「ひろしまフラワーフェスティバル」のパレードの原型になったといわれている。だが、それ以降、日本一になった年にも優勝パレードは行われていない。今回は、日本一になれば、パレードを行う計画が水面下であるというが、41年ぶりのパレードが復活すれば、広島カープの熱狂は、さらにヒートアップするだろう。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)