初V監督の古葉氏が語る広島に受け継がれている伝統
投手陣は、前年、20勝の金城基泰がオフの交通事故でローテーションに入れなかったため、外木場義郎、池谷公二郎、佐伯和司の3人が中心の布陣だったが、外木場が20勝で最多勝、最多奪三振、沢村賞のタイトルを総なめにする活躍をした。 それでも古葉氏は、「当時は、ピッチャーは3人しかいませんでした。今年の広島の投手陣の方がはるかに上です。ベンチがジョンソン、ジャクソン、ヘーゲンズの3人の外国人をうまく使い、中崎をよく育てました。ジョンソンも剛速球を投げるわけではなく地味ですが、低目にしっかりとボールを集めます。ピッチャーは全般的にコントロールがいいですね。失投が少なく、大量失点でゲームをつぶさないのが、今年のチームの特徴でしょう」と、2016年の緒方カープを絶賛した。 また新井、黒田のベテラン2人の存在感も古葉氏の目に留まった。 「2人のベテランの力が大きいですね。新井は、カープの水があっているのでしょう。黒田は、よくぞ帰ってくれました。彼のことをサムライと呼ぶのでしょう。おそらく体は、もうパンク寸前だと思うんです。いつだったか、雨でゲームが中断したときに、先発の黒田がベンチの裏で自転車をこいで、体を冷やさないようにしていた姿を見たことがあります。そういう姿を若手が見ています。彼が、アメリカで覚えたツーシームという変化球を日本に持ち込んだことの影響も大きかったのでしょう」 緒方監督の采配や指導力についても、「ベンチワークがいいし、コーチが熱心に練習をさせているのがわかります。私たちも試合が終わってから反省のミーティングを繰り返して、徹底して練習につきあったことから古葉ファミリーと呼ばれましたが、緒方監督にも、ファミリーの一体感が見えますね」と評価した。 東京国際大学の野球部を見ている関係で、古葉氏は現在、東京在住だが、今季も、何回かマツダスタジアムを訪れた。その度に球場の雰囲気に驚くという。