2040年には「1兆ドル超」の市場規模に…日本の「宇宙開発」はどれだけ進んでいる?専門家が解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。 10月6日(日)の放送テーマは「すごいぞ! 日本の宇宙開発」。内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 主査の細川奈央さんをゲストにお迎えして、日本の宇宙開発の現状と、その重要性について伺いました。
◆毎年10月4日~10日は「世界宇宙週間」
67年前の1957年10月4日、ソビエト連邦により世界初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられました。そこから、毎年10月4日~10日の1週間は、国連により「世界宇宙週間」と制定されています。 日本における人工衛星は「だいち」「ひまわり」「みちびき」などがあります。人工衛星はロケットで打ち上げられた後、地球を回りながらそれぞれの仕事をするロボットのような存在です。ここでは、細川さんから「みちびき」について詳しく伺います。 正式名称は『準天頂衛星システム「みちびき」』で、主にカーナビやスマホに電波を送り、今いる場所を教える役割をもつ、日本が独自に管理・運用している測位衛星です。測位衛星でもっとも知られているのはアメリカの「GPS」ですが、「みちびき」はGPSと互換性のある電波を使用しており、GPSと連携して活用されています。そして今後、機能強化などの目的から「みちびき」の整備が計画されています。
◆2025年度には4機→7機体制に
2018年11月より4機体制でサービスを続けている「みちびき」は、4機それぞれから電波を送受信していますが、細川さんは「常に1機は、日本の真上あたりを飛ぶようにプログラムされています」と説明。常に日本の真上付近に1機いることで、電波がビルや山などに遮られにくく、測位が安定しやすくなります。また、GPS衛星から見えにくいところにいたとしても「みちびき」がしっかり測位して、位置を安定的に示すことができます。 また、「みちびき」が出す電波のなかには、位置情報の精度をさらに高める補強信号もあり、この信号を利用すると、時には数メートルになることもある誤差を“数センチ”まで小さくすることが可能です。この補強信号のサービスは既に、車の自動運転、無人トラクターによる農作物の種まきや収穫、物流やスポーツなど、ビジネスの分野をはじめ、幅広い分野で活用されています。 なお、現在「みちびき」は4機体制ですが、2025年度を目処に7機体制になる予定で。そうなると、GPS衛星を利用しなくても「みちびき」のみで測位サービスが利用可能になります。 さらに、今年度から11機体制に向けた検討・開発もおこなわれる予定だそうで、細川さんは「7機体制はGPSに頼らない必要最低限の機数なので、1機でも不具合が生じると測位機能が維持できなくなります。ですから、安定供給のためにもバックアップ機能を強化する必要があります。また、11機体制にして利用可能領域を拡大すれば、アジア・オセアニア地域でも精度の高い測位が実現します」と解説します。