ミニマルとマキシマルが共存する「スポーツマックス」2025年春夏
「スポーツマックス(SPORTMAX)」2025年春夏コレクションのキーワードは「対比」だ。削ぎ落とした直線的なラインと曲線、ソリッドと柔らかな素材など、対極にある要素を掛け合わせ新鮮な女性像を描いた。ここ数シーズン、ミニマリズム的な“クワイエット・ラグジュアリー”が全体の傾向だったが、今季のミラノ・ファッション・ウイークは少しずつ飾る意思を取り戻しているようだ。 【画像】ミニマルとマキシマルが共存する「スポーツマックス」2025年春夏
会場に選んだのは、ブレラ美術館。ナポレオン1世のブロンズ像を囲う回廊をランウエイにした。コレクション冒頭はクリーンな印象のオールホワイトのルックが続く。そこにテクスチャーやラインの対比で濃淡を出した。たとえば、ブランドらしいソリッドでタイトなジャケットの下には、柔らかなテクスチャーのシアートップスを仕込む。半袖のトップスは、ビジューのフリンジで立体的に飾った。
深いVネックの直線的なワンピースもあれば、生地の凹凸で柄を生み出すニットのセットアップもある。大きなフラップの付いたフェイクポケットを配したミリタリー調のジャケットはコルセットとドッキングし、直線と曲線を織り交ぜる。ブランドのイニシャル「S」を模ったブレスレットや、同じSのパーツを配した柔らかなナッパレザーのクラッチバッグなど、アクセサリーでも曲線を効果的に取り入れた。
「水」も今季を象徴するモチーフだ。随所に登場した雫のようなクリスタルの装飾は、ミニマリズムとマキシマリズムの橋渡し役を担う。水が入ったはPVCのトートバッグには、モデルが歩くたびに波打った。新たな生命の誕生を想起させる「水」にフィーチャーすることで、新しい女性像生み出そうとするブランドの意志と重ねた。