ラグビー日本代表「頑張らないといけない時に頑張れなかった」理由。W杯の敗因と求められる仕組み作り<RS of the Year 2023>
選手層に課題。全試合に先発した選手が9人
2022年以降は、国内リーグがトップリーグからリーグワンに新装開店。外国人枠を広げて試合の強度を高め、日本代表の主力で元サンウルブズのリーチ マイケルも「接戦が多く、世界一のリーグになる可能性は十分にある」と発言する。 ただし、その「可能性」を高めるのにはまだ時間が必要か。スーパーラグビーを経験した他の代表選手は、試合の強度には改善の余地ありとの見立てだ。 リーグワンで最大級のパフォーマンスを披露する強豪国代表の選手のうち数名は、来日の理由を問われて「(欧州などに比べ)試合数が少ないこと」と述べた。日本独自の素早い試合展開を味わいながら、その年ごとの代表戦やワールドカップへコンディションを整えられることをメリットにしていた。 いまの日本国内のスケジュール、レベルでは、日本代表の首脳陣がテストマッチで起用できる選手を見極めたり、その見込みのある選手にほどよい刺激を与えたりするのは難しいのだろう。 かくして日本代表は、十分な「経験」を積んだ選手の数、つまり選手層に課題を残した。 フランス大会開催年に行った強化試合計6戦へは、ほぼほぼ主力候補を固定して臨んだ。件のアルゼンチン代表戦では、相手が3戦目からスターターを11人も入れ替えていたのに対し、日本代表は全試合に先発した選手が9人もいた。 藤井は続ける。 「(ワールドカップ前のテストマッチで出番のなかった選手も、本当は)使おうかなと思った選手がほとんど。やはり主軸の選手すら試合数が少なかったので、彼らに試合経験を積ませたということ」 母国のニュージーランドに生活拠点を置きながら約7年間、日本代表を率いてきたジョセフは、こう認めた。 「我々はクオリティのあるチームだけど、クオリティのある選手を育てる場がなかなかないのが現状です。こうした課題は日本ラグビー界について回っています。どんなラグビー選手でも、厳しい試合をしなければいけない。今年は(大会直前に)タフな試合をして、自分たちの可能性を引き出していた状態でした」