夫と歳の差が20歳あり、まもなく夫が「年金生活」に入ります。私は扶養を超えて働きたいのですが、夫の「介護」に備えた方がよいですか?
夫と妻との年齢差が20歳もあるとなると、例えば「夫が定年退職して年金生活に入ったころ、妻はまだ40代の現役世代である」ということもあるようです。そんなときに悩むことが多いのは、介護の問題と働き方です。 そこで、年齢差が大きく、働き方や介護に悩む夫婦に向けて、今後の働き方と介護について、どうすべきか考えていきます。
今はまだ介護に備えて働くべきといえる
確かに、介護に備えておくことは大切ですが、今すぐ介護が必要というわけでもないのであれば、まだ扶養を超えてフルタイムで働くのもよいでしょう。 介護には多額のお金が必要になります。実際に介護が必要になるまでは、バリバリ働き稼いで貯金を殖やすことも、立派な介護への備えです。むしろ今後の生活を考えると、万が一夫が亡くなった後も、妻はできる限り働きお金をためておく方がよいでしょう。 公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、介護費用の平均は月8万3000円(過去3年間に介護経験がある人の平均)です。介護期間の平均がおよそ5年であることを考えると、介護費用としては少なくとも500万円程度必要になる可能性が高いです。 その点を考えると、やはり扶養を超えて働くべきでしょう。
税金関係の問題はどうなる?
このケースにおいて、妻がこれまで働き方を扶養内に抑えていた理由は、夫の税金面の問題でしょう。 扶養から外れることで夫の収入にかかる税金が上がり、手取りが減ってしまうので、妻はそれを防ぐために扶養内で働いていたはずです。しかし、夫が年金生活に入った後、扶養について考える必要性は、大幅に低下することが予想されます。 年金収入は令和4年度厚生年金受給者の平均でも、1月当たりおよそ14万5000円で、年換算ではおよそ174万円です。65歳以上で公的年金のみが収入の方は、158万円以上の年金収入が生じた場合に、所得税が発生します。 とはいえ諸条件によっても異なりますが、扶養を抜けて税金が発生しても、それを上回る金額分を稼ぐことはそう難しくはないでしょう。また、国民年金のみの加入者であれば扶養内に収まる可能性が高いため、他に収入がなければ所得税について気にする必要はありません。 これらを考えると、よほど高額な年金を受け取っている方や、他に収入のある方でない限り、無理に収入を扶養内に収めつづける必要はないと考えられます。