暴落か急騰か、トレーダーは市場の極端に備える-テールリスク懸念
(ブルームバーグ): S&P500種株価指数が数十年で最高のパフォーマンスで1-3月(第1四半期)を終え、利益を確定した投資家は、次に起こることに備えている。
株式市場は史上最高値付近で4-6月(第2四半期)入りしたが、トレーダーが何を考えているのかのヒントはオプション市場にある。小幅な調整によって利益が出るプットオプションの需要はここ数年で最低水準にある一方、株価が大きく振れた場合にプロテクションを提供する商品に人気がある。
投資家は多少の株価下落については特に心配していないが、テールリスクを懸念していることがうかがわれる。
デリバティブ分析会社アシム500の創業者、ロッキー・フィッシュマン氏は「テールリスクは幾つもあり、市場は大きく動いたことがある。テールヘッジへの需要があるのは驚きではない」と述べ、「基本的なヘッジに対する需要がないことの方が驚きだ」と付け加えた。
インフレ率の低下傾向が続き、米連邦準備制度が年内の利下げに意欲を示しているため、金利のボラティリティーは2022年2月以来の低水準となり、株式にとって総じて有利な環境が生まれた。S&P500種は第1四半期に10%上昇し、19年以降で最も好調な第1四半期中に22回、過去最高値を更新した。
上昇が少数の主要銘柄に集中しているため、投資家はあまり買われていない市場の一角にも目を向け始めている。小型株は回復の兆しを見せており、ハイテク株比率の高いナスダック100種指数は昨年を通じてS&P500種を上回るパフォーマンスだったが、今年第1四半期にはこれが逆転した。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのリサ・シャレット最高投資責任者(CIO)によれば「市場は、米国の全体的な経済成長が引き続き堅調に推移する、真のソフトランディング、あるいはランディングなしのシナリオに対する自信をますます強めている」という。
投資家の安心感を背景に、S&P500種のコールオプションのコストは上昇し、プットのコストは下がっている。つまり、投資家は幅広い市場の続伸を見込み、若干の反落については特に心配していない。