うつの原因、“脳疲労”が軽減する「手軽な瞑想術」
「マインドフルネス瞑想」は今、世界中から注目されています。そのなかでも代表的な呼吸瞑想の1つである「坐禅」のやさしい実践方法と、より日常生活に取り入れやすい瞑想法をご紹介しましょう。(取材・文:高橋裕子、イラストレーション:なかむら歌乃) 【川野泰周(かわの・たいしゅう)】 僧侶、精神科医。1980年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。建長寺専門道場にて禅の修行後、2014年、父を継いで臨済宗建長寺派林香寺(横浜市)の19代目住職となる。寺務のかたわら東京や横浜市内のクリニックで精神科医、心療内科医として診療を続けている。『ずぼら瞑想』(幻冬舎)など著書多数。
不調の原因は「脳疲労」
作業に集中できない、つい他のことを考えてしまう、いつも「心ここにあらず」の状態にある......。デジタル技術の急激な発展による情報過多、そして仕事でも家事でも同時に複数の作業をこなすことが求められるマルチタスクによって、私たちの脳は疲れはてています。 脳疲労の蓄積は不眠や頭痛、自律神経失調症と呼ばれる不調やうつを招くことがわかっています。 こんな時代を健康で過ごすためには、脳の疲れをとるとともに、ふだんから疲れにくい脳にすることが必要です。そこで私がおすすめしているのがマインドフルネス瞑想です。 マインドフルネスとは「目の前の行為に注意を向けて、そのときに生じた感覚に善し悪しの判断を加えない」という心のあり方。そのような心の状態になるために効果的なのがマインドフルネス瞑想です。
坐禅はマインドフルネス瞑想の1つ
マインドフルネス瞑想は「今、この瞬間」の感覚に意識を向けて集中力を高めるエクササイズ。坐禅はそのなかの呼吸瞑想の1つです。 呼吸に集中するというタスクを続けることで、集中力が高まる、頭がすっきりする、自己肯定感が上がるなどの効果が得られます。物事を冷静に受けとめる脳になるので、心身の不調も改善します。 そして、自己肯定感が上がると自分を大切にできるようになり、他人を思いやる気持ちの余裕が生まれます。他人の言葉に心を乱されない強さも身につくので、人間関係もよくなるのです。