アフターコロナのインバウンド最新情報などを発信 「第27回JNTO インバウンド旅行振興フォーラム」がスタート
インバウンド(訪日外国人客)の最新情報などを2日間にわたり発信する「第27回JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」の初日が、9月5日に東京都内の会場で始まった。JNTO(日本政府観光局・東京)主催。 2004年から開催しているイベントで、海外26カ所にある全ての海外事務所長・海外事務所設置準備室長などが集結。各市場における訪日旅行市場の最新動向を解説するほか、「持続可能な観光地域づくり」についてのパネルディスカッション、地域の取り組み事例などを紹介する。 初日の5日冒頭には、観光庁やJNTO担当者からのインバウンドの現状や課題・取り組みについての講演が行われた。 観光庁国際観光部国際観光課長の飯田修章氏は、「観光庁の国際観光戦略」をテーマに講演。2024年7月の訪日外国人旅行者数は約329万人(コロナ前2019年同月比110%)で単月としても過去最高であること、2024年1~7月の総数は約2107万人で、このペースが続けば2024年は3500万人も視野に入るというコロナ後の回復・伸長ぶりを解説した。 一方で、三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)にある都市と、それ以外の都市でのインバウンド回復に差が大きいことも指摘。「コロナ前から三大都市圏にインバウンドの6割が集まり、コロナ後の回復も早く、現在も7割が宿泊旅行に来ている。しかし、それ以外の地方も限りないポテンシャルを持っており、日帰りのインバウンドは地方にもかなり来ている。宿泊につなげる魅力的なツアーコンテンツの開発や販路開拓などを、地方事業者と連携して進めていく」と、地方誘客の重要性を解説した。 そして、「コロナを経て外国人の観光目的も、“有名な所に行きたい”の順位が落ち、“さまざまな文化・食事・ライフスタイルに触れたい”という目的の順位が上がっているという調査結果もあり、観光庁としての取り組みとも合致している。日本のさまざまな所にしっかりと滞在していただき、日本の魅力を知っていただきたい」と話した。 続いて、JNTO企画総室・竹内大一郎氏が、「地方誘客強化に向けたJNTOの今年度の取り組み」をテーマに講演。 地方誘客強化については、「ターゲットを絞って効果的な戦略を進めるとともに、自治体や企業などの横のつながりも大事」と指摘した。インバウンド向け観光情報発信に関する取り組みとして、多言語ウェブサイトやSNSでの発信に加え、今年度は生成AIを活用した情報発信の実証実験に取り組んでいることを紹介した。 また、「持続可能な観光(地域の環境・文化・経済の持続可能性を高める観光)の推進」のための取り組みとして、「高付加価値旅行者」(着地消費額100万円以上/1人)の呼び込み、自然・文化体験を提供する「アドベンチャートラベル」推進のための優れたガイドの育成、「大阪・関西万博」で大都市以外に人の流れを呼ぶコンテンツの考案などにも触れた。国際会議や大規模イベントなどの日本への誘致にも、引き続き取り組んでいくとした。 2日間のプログラムでは、地方観光協会やインバウンド事業に取り組む会社関係者を講師とするパネルディスカッション「持続可能な観光地域づくりに向けた取り組み」、2日目には、群馬県の担当者とJNTO地域連携部長によるトークセッション「群馬県のインバウンド施策に見る自治体の地方誘客戦略」、をテーマにした講演などが予定されている。