ブライソン・デシャンボー、今は亡き憧れのペイン・スチュワートに捧げる全米オープン2勝目【コラム】
海外男子メジャー、全米オープンでブライソン・デシャンボーがローリー・マキロイを1打差で下し、4年ぶり2度目の栄冠に輝いた。 舞台はノースカロライナ州パインハースト・リゾート&CC No.2。1999年にここで全米オープンが開催された時、デシャンボーの大学の先輩であり憧れのペイン・スチュワートが42歳で戴冠。最終ホールのガッツポーズがコースに銅像として残されている。 マキロイとの息詰まる接戦のなかデシャンボーはずっとスチュワートのことを思っていた。 この大会で優勝したわずか4か月後、スチュワートは試合会場に移動する途中飛行機の墜落事故で帰らぬ人になった。 デビュー当時、ハンチングを被っていたのはそれが先輩のトレードマークだったから。LIVゴルフに移籍した今はチームロゴが入ったキャップを被らなければならないが、今週は先輩へのオマージュのためハンチングをキャディバッグにかけて戦った。 最終日の練習中、ドライバーのヘッドが割れた。予備のドライバーだったせいもありこの日はティーショットが荒れまくった。それでも耐え、攻めることを恐れなかった。 最終ホールのティーショットは左に大きく曲がり、地面に大木の根が張り出す荒地に捕まった。そこからグリーンを狙ったが手前55ヤードのバンカーへ。このホールで70センチのパットを外し通算5アンダーでホールアウトしていたマキロイを1打リードしていたが、パーをセーブするのも難しい状況だった。 しかしデシャンボーは土壇場で素晴らしいバンカーショットを繰り出し、約1メートルに寄せ見事パーセーブ。1打差で勝ち切った。激しいガッツポーズのあと、天を仰いでスチュワートに感謝を込めた。 表彰式では数年前亡くなった父・ジョンさんに敬意を表し、父の日の優勝を報告したあと「ペイン・スチュワートにもこの勝利を捧げます。僕がSMU(南メソジスト大学)に入学した理由も彼。ハンチングを被った理由も彼」というと用意していた紺色のハンチングを被り「すごいですよね」と最高の笑顔を見せた。 2020年に全米オープンを制覇した時はコロナ禍で無観客。しかし今回は大勢のギャラリーから声援を集め「U.S.A」コールで歓迎された。 PGAツアーでデシャンボーが見られないのは残念だ。