柔道・野村忠宏の引退会見全文1「激励のお言葉一番うれしい」
柔道・野村忠宏の引退会見全文1「激励のお言葉一番うれしい」 THE PAGE大阪
前人未到の五輪柔道3連覇を果たし、先月29日に兵庫県尼崎市で行われた全日本実業個人選手権で現役を引退した野村忠宏(40=ミキハウス)の引退会見が31日午後、大阪市内のホテルで行われた。会見前から多くの報道陣が列をなすほど詰め掛ける中、笑顔で会見場に現れた野村忠宏。冒頭あいさつで「最後負けてはしまいましたが、豪快にぶん投げられた40歳の柔道家に対して、激励のお言葉をかけてもらえたのは一番うれしい」と述べるなど、終始さわやかな笑顔を見せながら報道陣の質問に答えていた。そんな野村の会見はSNSなどのネット上でも話題となり「かっこいい」「すばらしい」という激励の言葉が目立った。そんな野村が様々な思いを語った会見の模様を全文で伝えていく。
最後の大会で一本勝ち自分でもすごく誇りに思います
司会:どうぞご着席ください。柔道60キロ級、アトランタ、シドニー、アテネオリンピックの金メダリスト、ミキハウス・野村忠宏でございます。野村のプロフィールにつきましては本日皆さま方にお配りさせていただいております資料のとおりでございますが、1996年、天理大学4年生のときにアトランタオリンピック、そしてミキハウス入社後、2000年シドニーオリンピック、2004年アテネオリンピックと、柔道史上初、また全競技を通じてのアジア人初となるオリンピック3連覇を達成いたしました。 その後、2008年に右膝、2013年には右肩、2014年には左膝等、度重なるけがの手術を乗り越え、40歳になる現在まで選手として野村の柔道を追求してまいりましたが、今日ここに皆さまにご報告をしなければならないことになりました。 それでは野村忠宏より皆さまにご報告、ごあいさつさせていただきます。なおご質問に関しましては後ほどお時間を取らせていただきますので、その際にお願いいたします。では野村さん、お願いいたします。 野村:ただ今ご紹介いただきました、野村忠宏です。本日はお忙しい中どうもありがとうございます。座りながら失礼します。私、野村忠宏は8月29日、全日本の実業団の試合をもちまして現役を引退いたしました。最後の試合っていうのは、1回戦、2回戦、自分をここまで支えてくれた背負い投げであったり、一本背負い、そういう担ぎ技で豪快に一本勝ちができましたが、最後の3回戦っていうのは逆に豪快にぶん投げられました。本当に今までの自分の戦いの歴史の中でも一本勝ちというのは自分の大きな代名詞であったので、40歳最後の大会で豪快で一本勝ちできたっていうのは自分の中でもすごく誇りに思いますし、逆に負けた試合っていうのも豪快に一本負けして、自分の中でもすっきりいたしました。 負けた瞬間、投げられた瞬間というのは数秒間、畳に寝そべってすぐに立つことができなかったんですけども、その瞬間っていうのは、まず投げられた瞬間、あ、やられた、うまくやられた、豪快に投げられたな。そういうものが頭をよぎり、その次に、あ、本当にこれで自分の戦い、真剣勝負の戦いが終わったんだなと少しせつないというか、さみしい気持ちになりました。