湊線延伸 来年度着手へ 先行区間 国が工事認可 茨城・ひたちなか
茨城県ひたちなか市とひたちなか海浜鉄道は19日、同鉄道湊線の延伸計画で、終点の阿字ケ浦駅から国営ひたち海浜公園南口付近までの1.4キロ区間の工事を国に認可されたと発表した。事業費は59億円。厳しい経営が続く地方鉄道の延伸は全国的にも異例。市などは2025年度に着手し、30年春の開業を目指す。 計画では、阿字ケ浦駅から公園南口付近に設ける「新駅1」までを先行整備し、開業する。認可は18日付。 当初は公園西口付近に設ける「新駅2」までの全3.1キロを一括開業する計画だったが、物価高による事業費の増加で昨年12月、2段階に分けた工事に変更した。今年3月、国から変更が認められ、新駅1までの区間の工事施工認可を申請していた。 全体事業費は126億円。このうち先行区間にかかる費用は59億円で、海浜鉄道が18億円、自治体側が41億円余を負担する。市は国や県の支援の活用を検討しており、本年度中に国の財政支援制度活用の前提となる「鉄道事業再構築実施計画」を策定し、同計画の認定を得られるよう作業を進める。 25年度は、鉄道施設整備に必要な用地を確定させるための用地測量や詳細設計を行う予定。 新駅1は、当初計画より公園南口に近接させることで利便性を高め、乗客や公園来場者の拡大につなげたい考え。近くに県が工業団地を造成するなど、通勤需要を見込む。 一方、公園西口付近に整備する新駅2までの残り1.7キロ区間の整備については、先行区間の整備状況を踏まえて決める方針。この区間の工事施工認可の申請は、30年3月末までに判断する。 工事認可を受け、大谷明市長は「市民や議会をはじめ、多くの皆さまの理解を得ながら引き続き延伸を支援する」とコメントした。 海浜鉄道の吉田千秋社長は「多くの人たちの期待の声に応えられるよう、安全第一で事業を進める」とし、観光客と地元住民の利用増を目指しながら、「地域の活性化につながるよう沿線や新駅周辺のまちづくりに貢献したい」と話した。
茨城新聞社