投資対象としてJ-REITの特徴を再チェック リターンとリスクはどの程度?
今回は入門編のおさらいとして、日本版不動産信託投資(J-REIT)の特徴をまとめてみたいと思います。不動産や株式投資と比較してリターンはどのくらい期待できるのか、リスクはどの程度を想定したらいいのかをミリタス・フィナンシャル・コンサルティングの田渕直也さんが解説します。
投資対象としてのJ-REITの特徴
まず、不動産そのものの特徴から見ていきましょう。 【リターン】比較的安定した賃料収入が見込め、インフレにも強い。株式ほどには価格の上昇力は強くない。 【リスク】価格変動率は一般的な債券よりも大きいが、一般的な株式よりはかなり小さく安定している。 J-REITでは平均して2倍程度のレバレッジがかかっているので、リターン、リスクともにその分強められていることになります。ただし、それでも一般的な株式と比較して、J-REITの価格変動リスクは同等かやや小さめの水準となっていて、株式投資の入り口としても比較的取り組みやすいものになっているといえるでしょう。 また、J-REITは一種の不動産賃貸業者といえます。そこで、一般の不動産会社と比較した場合に、J-REITにはどのような特徴があるかも見ておきましょう。 不動産会社の多くは、不動産賃貸業のほかに、分譲事業や不動産開発事業などリスクの大きい事業を手掛け、大手の場合であれば海外でも事業を行っているところが多くあります。これに対して、J-REITは国内における不動産賃貸の専業といってよく、銘柄によってはオフィス特化型とか住居特化型というように対象不動産の用途まであらかじめ決まっています。J-REITは、このように業務の範囲が限定されているので、目的とする不動産賃貸業以外の業務の影響を受けることなく、その収益をダイレクトに享受できるという点が大きな特徴となっています。 さらに、一般の不動産会社は平均するとJ-REITよりもレバレッジが高く、自己資本の比率は低くなっています。J-REITの方が財務的にも安定しているといえるわけです。 つまり、J-REITは、安定的に賃料収入を生み出す不動産そのものに投資することに焦点を絞っていて、それ以外のリスクは極力排除するように設計されていると考えていいでしょう。その結果、J-REITのリスクは、総じて一般の不動産会社よりも低くなります。ただし、不動産市況が活況になった場合には、レバレッジの大きい不動産会社株の方がより大きく価格が上昇する傾向にあります。