検察が“証拠隠し”も…袴田事件で再審開始に40年超もかかった理不尽な理由、「開かずの扉」再審法の改正機運高まる
■ 約600点の警察・検察「証拠隠し」 証拠開示をめぐっては、袴田事件で警察・検察の「証拠隠し」が明らかになっています。事件発生から42年後の2008年に申し立てられた第2次再審請求のなかで、検察側がそれまで明らかにしていなかった証拠約600点を初めて裁判所に出したのです。 40年以上も経過して出てきた“新証拠”。そのなかには死刑の確定判決を覆す証拠も含まれていました。 確定判決では、犯行時に袴田さんが着用していたズボンのサイズは「B」とされていましたが、新証拠によると、Bはサイズを示すものではなく、実際のサイズは細身の「Y体4号」だったというのです。 ボクサーだった袴田さんには小さすぎるサイズ。これも冤罪を物語る有力な証拠となりましたが、長期間、被告・弁護側と裁判所を欺いてきた検察側は強い非難を浴びました。
■ 繰り返される検察の「不服申し立て」 日弁連によると、再審制度改正に関するもう1つのポイントは「裁判所が再審を認めた場合、検察官の不服申し立てを禁止すること」。すなわち、「検察官抗告の禁止」です。 現在の法制度では、裁判所が再審開始を決定しても、検察官の不服申し立て(抗告)が認められているため、抗告があると、その都度、再審の開始決定が適切だったかどうかを裁判所が判断することになります。 例えば、鹿児島県で1979年に起きた大崎事件では、殺人などの罪で有罪が確定した女性が無実を訴え続けていました。そして2002年、ついに再審開始決定が出ます。 ところが検察側が即時抗告し、その後、再審開始決定は取り消しになりました。2回目の再審開始決定は2017年でしたが、またも即時抗告により決定は取り消し。 そうしたことが3回にわたって繰り返され、事件発生から45年が過ぎた今も審理は継続中なのです。 その間に女性は96歳になりました。まさに生涯を懸けて自分の無実を晴らそうとしているのに、いまだに裁判のやり直しは決着していません。