満員電車の解消は「早起きから」 東京メトロが仕掛ける混雑緩和作戦
お盆休みが終わり、日常が戻ってきました。休み明けの出勤は、いつもより面倒に感じてしまいます。そうした気持ちをさらに萎えさせるのが満員電車です。混雑の緩和は、鉄道会社が解消すべき課題ですが、思うようには進んでいません。そうした中、東京メトロが新しい発想で混雑の緩和に取り組んでいます。
運転本数を増やすには大規模工事が必要
今年3月14日、JR東日本は東京駅~上野駅間を走る「上野東京ライン」を新たに開業させました。これまで、上野駅止まりだった宇都宮線・高崎線・常磐線が東京駅まで乗り入れるようになり、東海道本線とドッキング。相互直通も開始されています。これにより、乗り換えの不便がなくなりました。 もともと、上野東京ラインは200%といわれる山手線・京浜東北線の混雑率を180%に緩和を目指したものです。 ラッシュ時間帯の混雑は、鉄道会社が解消に取り組まなければならない課題です。混雑は遅延を引き起こす要因にもなるので、鉄道会社にとって放っておけない問題です。 東京都心部に9路線を有する東京メトロも、同じ悩みを抱えています。東京メトロの路線の中で、特に混雑が深刻なのがピーク時に200%の混雑率になる東西線です。東西線は千葉県の西船橋駅から日本橋・大手町などの都心部を通り、東京都の中野駅までを結んでいます。西船橋駅では東葉高速鉄道線にも乗り入れています。東葉高速鉄道の沿線はニュータウンが広がっているため通勤・通学者が多く利用し、乗り入れしている東西線も混雑率は高くなります。また、原木中山駅~門前仲町駅間は競合路線がないので、ほかの路線に分散することもできません。 「国はピーク時の混雑率を基本的に180%以下にするように鉄道会社に通達しています混雑率を下げるには、列車の運転本数を増やすのがもっとも効果的ですが、東西線は運転本数をこれ以上増やすことができません。 さらに運転本数を増やすには、線路を増設するなどの大規模な工事をする必要があります。そのため、現在は飯田橋駅~九段下駅間に折り返し線と、南砂町駅で線路・ホームの増設工事を進めています。それが完成するのは、それぞれ2020年度、2022年度です。こうした大規模工事には時間がかかります。その間にも混雑率の緩和に何かしら手を打てないかと考え、平成19(2007)年から『早起きキャンペーン』を始めました」(東京メトロ広報部) 東京メトロが始めたキャンペーンは、いつもより早い時間帯に電車に乗ってもらうことでピークタイムの乗客を分散しようと企画されたものです。同キャンペーンでは、乗車時に専用端末にタッチすることで時間帯に応じてメダルを獲得できる仕組みになっています。獲得したメダル数に応じて賞品に応募できるようになっています。