歴史的ニュース相次いだ2024年 日本経済を振り返る/上
2024年の日本経済は歴史的なニュースが相次ぎました。日銀が17年ぶりに利上げを決め、久しぶりに「金利ある世界」に。日経平均株価が史上最高値を更新する一方で、「令和の米騒動」が生活者を苦しめました。年後半にはセブン&アイ・ホールディングスがカナダ企業から買収提案を受け、ホンダと日産自動車が統合協議に入るというニュースも飛び込んできました。3回にわたり今年のニュースを振り返ります。 ◇2月 「ドイツが伸びたのではなく、日本の経済成長力と製品開発力が落ちたところに問題がある」(国際通貨研究所の渡辺博史理事長) 内閣府が15日に発表した23年の名目国内総生産(GDP)が591兆4820億円となり、ドル換算でドイツに抜かれて世界4位に転落した。10年に中国に抜かれたのに続き、ドイツにも約半世紀ぶりに逆転を許した。 「株価の水準に一喜一憂せず、企業の稼ぐ力の強化や、物価高に負けない賃金の実現に取り組み、生活実感の向上を図る」(鈴木俊一金融担当相=当時) 東京株式市場の日経平均株価(225種)が22日、バブル経済期の1989年12月29日につけた終値の最高値(3万8915円87銭)を上回り、約34年ぶりに史上最高値を更新した。 ◇3月 「先進諸国と比べて物価も賃金も安い国になってしまった。今春闘はもちろん、来年以降も安定的・継続的な物価上昇と、それを上回る賃上げが必要だ」(UAゼンセンの松浦昭彦会長=当時) 24年春闘は13日、主要企業の集中回答日を迎え、自動車や鉄鋼、電機など主要産業では労働組合の賃上げ要求への満額回答が相次いだ。連合の最終集計によると、平均賃上げ率は5・1%。91年以来33年ぶりの5%台になった。 「賃金と物価の好循環を確認した。これまでの大規模な金融緩和はその役割を果たした」(日銀の植田和男総裁) 日銀が19日、金融機関が日銀に預ける預金の一部にマイナス0・1%の金利を適用する「マイナス金利」の解除を決めた。日銀の利上げは07年以来、17年ぶり。黒田東彦(はるひこ)前総裁が導入した「異次元の金融緩和」を転換した。 「事実確認や原因究明に時間がかかった。判断が遅かったと言われればその通りだ」(小林製薬の小林章浩社長=当時) 小林製薬が22日、紅こうじ成分を配合したサプリメントを摂取した人で腎臓疾患になった人がいるとして製品の自主回収を発表。9月には厚生労働省が原因物質を青カビ由来の「プベルル酸」と公表した。創業家出身の社長と会長は引責辞任した。