タワマンの高騰がヤバすぎる…!世帯年収2000万円「パワーカップル」でも手が届かない「異常事態」!
「タワマンヤドカリ」の終焉
都心マンションソムリエの稲垣ヨシクニ氏がその理由を解説する。 「2つのタワマンを合わせても市場に出るのは2400戸程度で、'24年の半分程度しかありません。そのうえグランドシティタワーは月島駅から徒歩5分、ザ 豊海タワーは勝どき駅から徒歩10分で、最寄り駅から20分近くかかる晴海フラッグと比べても格段に暮らしやすい。需要が下がるとは考えにくいでしょう」 誰もが値上がりすると信じているからこそ、価格が上昇し続ける―東京ではまさにタワマンバブルが起こっているのだ。一方で高騰している背景には投機的な要因に加えて、構造的な問題もある。前出の大手デベロッパー社員が明かす。 「そもそも東京の都心部は開発され尽くしていて、大きなタワマンを建てたくても建てられる土地がほとんど残っていない。そのうえ、インバウンド需要を背景にしたホテルとの用地の奪い合いも激しくなっています。首都圏では、'00年には10万戸あった新築マンションが今では3万戸にまで減っているので、供給が減れば値上がりするのは当然です。 加えて'22年から本格化した資材の高騰により、タワマンの建築費は大きく値上がりしました。かつては1戸あたり1000万円程度で済んだものが、いまや3000万円かかるのが当たり前になってきた。同時に職人の高齢化が進み、各地で行われる再開発プロジェクトで人手も不足しています。この先、デベロッパーが売り出す価格が上がることはあっても、下がることはまず考えられないでしょう」 大方の予想を超えて、際限なく値上がりを続けているタワマンだが、ここまで高騰すると購入できる人も限られてくる。多くの日本人にとってローンを組んでも手が届かない価格にまで達した物件を、はたして誰が買っているのか。 これまでタワマンの主な買い手は、世帯年収が2000万円前後の共働き夫婦、いわゆる「パワーカップル」だと言われてきた。夫婦でペアローンを組めば1億5000万円くらいまで借りられるため、70程度の物件ならば都心部でも購入できる。値上がりが続くのを見越して数年で売却し、それを頭金にローンを組んで次のタワマンに住み替える「タワマンヤドカリ」は少なくないものの、最近では変化が生じつつあるという。 「パワーカップルは自己資金比率が低く、もしどちらかが職を離れれば大幅に収入が減って、ローンの支払いに行き詰まるリスクもある。ここにきて金利が上がり始めたこともあり、銀行は彼らへの融資に慎重になっています。今後は減少していくかもしれません」(前出の山下氏) 後編記事『タワマン価格が「一気に暴落」する日はくるのか…転売を繰り返す人々を待ち受ける「天国と地獄」』に続く。 「週刊現代」2024年11月16日・23日合併号より
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