LGBTQ応援 企業を紹介 式場やジュエリー、同性カップルも気軽に 静岡大サークル、プライド月間に合わせて冊子
性的少数者(LGBTQなど)らの居場所づくりに取り組む静岡大の学生サークル「グランディオーゼ」(静岡市駿河区)が、同性カップルが気軽に利用できる結婚式場やジュエリー店などを紹介する冊子を手がけた。性の多様性の理解を深める6月の「プライド月間」に合わせて作成。市中心街で積極的に対応するLGBTQフレンドリー企業を掲載するとともに、他店舗に向けて同様の活動を後押しする狙いがある。 同性パートナーと2年前に指輪を購入しようとした同サークルの卒業生が、プライバシーに配慮した対応をする近隣の店舗が分からず、購入を諦めたことをきっかけに冊子づくりが始まった。当事者の声などを参考に、学生たちが直接訪れて理解を得た11店を掲載。サービスの内容とともに、対応の実績や店舗からのコメントなども示した。 同性カップルの披露宴を開いた経験がある洋風居酒屋「コドナ」(同市葵区)の大塚就斗店長(33)は「誰もが安心して利用できる場所として周知することは、間口を広げる意味でも意義がある」と歓迎する。一方、「期待に応えるサービスが提供できない」などを理由に、掲載を控える店舗もあったという。 製作に携わった学生の一人は「当事者を素直に祝福してくれるお店が地元にいくつもあることを知ってほしい」と期待を込める。今後は掲載店を増やしたり交流サイト(SNS)で発信したりするほか、市役所のパートナーシップ制度で宣誓した希望者にも渡す。 活動に協力した同大の宇賀田栄次教授(学生支援センター)は「社会問題に関心を持った若者が発信する意義は大きい」と評価し、「ビジネスとしての側面もある。全ての人の社会的な障壁を減らす意味でも、企業は情報を積極的に発信してほしい」と話す。 ■全国で広がる 企業の取り組み〝見える化〟 自治体や団体が性の多様性を尊重する企業の取り組みを評価・公表する動きが全国的に広がっている。 札幌市や福岡市などはLGBTQフレンドリー企業の取り組みを発信する制度を創設し、活動を見える化している。市の公式ホームページで性的少数者の働きやすい職場環境づくりや社会への貢献活動、顧客対応などの指標と、各企業の情報などを公開している。 民間団体「ワーク・ウィズ・プライド」(東京都)が発表する「PRIDE指標」には2023年度、大企業を中心に834社の応募あり、705社が最高評価の「ゴールド」を獲得。公表が始まった16年度に比べ約10倍の応募があり、年々増加しているという。 ■プライド月間 性的少数者への差別や偏見のない社会の実現を、精力的に呼びかける期間。毎年6月に定められ、世界中で街頭パレードや、啓発イベントが開かれる。「当事者であることを恥じることなく堂々と自信を持てる」意味が込められている。1969年6月に米・ニューヨークのゲイバーで発生した、警察による強制捜査への反対運動「ストーンウォール事件」を機に世界中に広がった。
静岡新聞社