鳥取からフィリピンへ!―「実感ない」と言っていた生徒の変化
第3回 テーマ
「想像を想像のままで終わらせない! 学びの核心は“手触り感”」
「Local × Global」動くからこそ景色は変わる
読者のみなさんこんにちは! 神山まるごと高専の大山力也です。前回は私が鳥取県の私立高校教員時代の初年に行った、STARWORK プロジェクトというおかしな働き方をする地域の大人を学校に招く取り組みのお話でした。鳥取という「ローカル」だからこそできる取り組みで、「人の少ない鳥取にこんなに面白い人がたくさんいると思わなかったよ」「学校の中にずっといたら聞けない話が聞けるから毎回楽しみにしてるよ」と同僚からも好評でした。「これはまだまだ挑戦させてもらえる雰囲気があるぞ!」と思った私が2年目に狙ったのは「グローバル」な取り組みでした。ちょうどその頃、イギリスの金融機関で働いていた知人から国際NPO法人Free The Children Japan(以下、FTCJ)の代表をオンラインで紹介頂いていました(「新しい取り組みに積極的なおかしな教員はいないか?」との相談に私が思い浮かんだそうです。SNS で取り組みを発信してみるものですね。笑)。予定を合わせ、FTCJ事務所を直接訪問。お話を伺うと、FTCJは「子どもの貧困」「児童労働などの社会課題」に対し「子どもにも社会を変えられる力があるはずだ!」と信じた12歳のカナダの少年から始まった活動で、今や全世界的なネットワークを持ち世界中の子ども達をエンパワメントする活動を繰り広げていました。鳥取でも一部国連ユニセフ関係の取り組みや、外国人との交流機会はあるものの、海外に対して興味関心を持ったり働きかけたりする機会はまだまだ足りないと感じていた私は、「この団体を鳥取に招いて何かしたい!」と率直に思いました。
「地方から世界へ」生徒のボヤキはヒントの山
さて、どんな連携をしようかとFTCJ の方とお話を進めていたところ、「学校向けの教材開発をしていこうと思っている」というお話を伺い、「それ、ウチで実践しませんか?」というご提案をしました。前年度から動いたので予算の都合もつき、「貧困脱出ゲーム」や「児童労働について知るための写真資料」、その他いくつかのワークショップグッズや実施のための説明書を購入させて頂きました。鳥取や学校への視察も経て、約半年間かけてFTCJとの連携講座が実現。実際にファシリテーターの方に来てもらい、体育館の中で身体を動かしながらチームビルディングと世界についての学習を同時に両立させていく様は、「学校だけでなんでもやろうとせず、専門家に頼むほうがいい場合もあるのだな」と納得するに十分なものでした。 一通りのワークショップも終えると、自分たちが世界の社会問題に対してどんなアクションを起こしていけるだろうか? と振り返るフェーズに入っていきます。そこで、ある共通の現象が起こりました。自分たちにできるアクションはなんだろうか? とグループで考えた時に「募金」というワードばかりが並んだのです。「お金を渡せばそれで終わりなのか? 他にはどんなことができそう?」そう聞いてまわる中である生徒がポロッと言ったのです。「海外に行ったこともないし、写真を見て可哀想だなとか思ったりはするけど正直実感もわかないから何をしていいかも分からない」。確かに、「想像の世界に対して想像でできることを考えるのはとても難しいことをさせているな」と私も反省しました。この感触をFTCJの方と共有する中で、あるアイデアが浮かびました。「そうだ、行ったことがないなら、行きたい子だけでも連れて行ったらいいんだ!」。